看護師国家試験対策☆高齢者虐待の出題傾向その①虐待報告の現状と養護者の背景

こんにちは、母主です!

今回は、高齢者虐待の国家試験対策をしたいと思います。

 

高齢者虐待はニュースでも悲しい報道を目にします。高齢化社会となった現代、介護する人口も増えてきました。

 

介護は年を重ねれば必ず通る道です。

 

実習で学生さんも看護を通して体力勝負で大変だったなぁ、と感じた方もいたのではないでしょうか。

看護師
看護師

現場は人材不足や認知症介護の難しさなど問題が山積みです。

弱い立場にある高齢者虐待がなぜ、起こるのかという背景を知ることは看護師国家試験対策にも繋がります。

 

過去問題を10問程見直した結果、これらの傾向に繋がりました。

高齢者虐待における看護師国家試験過去問題の傾向

・虐待の傾向が問われる → 今回ココ!

・虐待の種類が問われる

・虐待を発見した場合の報告先が問われる

 

高齢者虐待については、の解説は非常に長くなるので二部構成に分けます。今回は、高齢者虐待の傾向をおさえていきましょう!

 

過去実際にあったお話も一部記載しているので具体的に把握することが出来ると思いますので、最後までぜひ、読んでください。

 

前回、小児虐待についての国家試験対策記事を記載しています。高齢者虐待と何が違うのか照らし合わせながら、こちらも覗いてみてください。

目次

看護師国家試験過去問題

第103回追試 虐待の傾向について

 

家庭内における高齢者虐待について正しいのはどれか。

1.虐待が表面化しやすい。

2.被虐待者には要介護認定者が多い

3.配偶者による虐待が約6割を占める

4.家族による介護拒否は虐待に含まれない

答え 2

 

高齢者虐待の背景を問われる問題もあります。自宅で養護者が虐待していると表面化しにくいので発見することが大事です。

 

高齢者虐待の報告件数

介護施設での虐待件数が増加

年々増加している高齢者虐待数ですが、令和3年度の厚生労働省調査結果で相談・通報件数は過去最多の38768件ありました。

 

平成18年度から2倍に増えています。

 

虐待と判断された件数においても養介護施設・居宅サービスでの虐待が増加していることが表でも分かります。

出典:厚生労働省令和3年度調査より

高齢化社会になると需要が増えるのが施設や介護事業所です。

 

年々、新しい居宅サービス事業所や介護療養施設も増加しています。

 

訪問入浴介護においては82件増えて前年比から4%の増加、一番新しく増設されたのが介護療養型医療施設です。昨年から277件新規施設が増えたことで33.3%増加しています。

 

こういった点からも利用者数が増えることで報告件数も増加してきている背景があります。

自宅養護者による虐待判断件数は減少

 

介護施設での虐待報告と判断件数が増加している反面、家族からの虐待と判断された件数は前年度から855件減少しています。

 

出典:厚生労働省令和3年度調査より

以前、高齢者の夫婦世帯、そして単身者世帯が増加していることを世帯調査の記事で紹介しました。

 

最近は夫婦双方または、片方のみで施設利用をするケースも多くなりました。

 

ケアマネージャーと相談しながら事業所を利用することで、家族は以前より介護する時間が自然と少なくなってきた印象があります。

 

そういった背景が家族の虐待数増加の歯止めに繋がっているのかもしれません。

 

ただし、厚生労働省の調査で虐待発覚当時に「介護保険サービスを利用していない」もしくは、「過去に受けたが事件時点では受けていない」の割合が5割を占めていることを報告しています。

看護師
看護師

入院時点で介護が必要な状況なのに、介護認定を受けていない方が多いです。

介護認定を受ける必要があるけど、家族では判断が出来ない方もいます。

 

虐待を防止するには介護保険サービスを受けて、家族だけが負担を抱えないようにすることが必要になってきます。

・介護事業所や施設での虐待報告数は増加している

・居宅サービス利用者が増え養護者による虐待件数は前年度から減少

・自宅養護者による虐待発覚当時、5割が介護保険サービスを受けていない

 

主たる虐待者は息子が一番多い

 

養護者側の主虐待者は息子が3割で一番多く、次いで夫が二番目に多い結果になっています。

 

夫による虐待率が多いことから高齢者虐待を受けているのは女性比率が多いです。

 

出典:厚生労働省令和3年調査結果より

さらに、世帯別に見ると主虐待者のみとの同居は52.6%、他の家族を含めて同居している場合でも34.9%で虐待を受けている高齢者の8割が同居している結果が出ています。

 

同居しているケースが多い理由背景には、生涯独身率と離婚率の増加も関与します。

 

虐待者と同居率が高い理由は未婚&離婚率も関与

生涯未婚率は50歳までに一度も結婚したことない人の割合を5年毎に算出しますが、男性の場合は4人に1人、女性の場合は7人に1人が結婚しないことが報告されています。

 

そして今後、更にこの割合は増加する可能性が高いことも算出されています。

 

社会人や大学進学で一人暮らしをする方もいますが、仕送りが困難だったり、一人暮らしが出来る賃金が得られない場合には実家から通勤・通学する方もいるのではないでしょうか。

 

かくいう私も社会人になっても実家から通勤していた人間でした。

母主
母主

一人暮らしは気楽で楽しいですが、実家暮らしのぬるま湯生活も抜けられない

 

令和4年の離婚率は厚生労働省の調査で3組中1組は離婚していることが判明しました。

 

離婚後は単身世帯になることもありますが、実家戻りも少なくはないのが現状です。

 

養護者の虐待理由は認知症が原因

複数回答結果ではありますが

看護師
看護師

虐待の原因は認知症の症状が一番多く55%です

 

その他に、介護疲れ・介護ストレス52.4%>主虐待者の精神状態が安定していない48.7%>被虐待者との虐待発生までの人間関係47.3%

という結果になっています。

 

2020年時点で日本における65歳以上の認知症は約600万人になっています。

 

2025年には約700万人まで増える見込みで、高齢者の約5人に1人が認知症になる予測が出ています。

 

前項目で介護保険サービスを受けていなかった虐待事例が多いと記述しましたが、同居している家族が付きっきりで介護をしている背景が目に浮かびます。

 

~友人介護体験談~

認知症の症状も人それぞれですが、自宅で認知症の母親を看ている友人は徘徊を止めようとすると母親が激怒して興奮するため、徘徊の時は後ろからついて回っています。時には目を離した隙に失踪してしまうことも。

友人談
友人談

徘徊で自宅から15Km離れた所で保護してもらった経験もあります。

デイサービスを利用したけど本人が拒否し利用出来ないため、どうしても用事がある場合には多機能型居宅介護施設に預けます。

 

しかし、ここまで進行してしまうと24時間目が離せない状況になり、自分の時間も無くなります。

 

きっと、こういったご家族は珍しくはないです。ただ、この状況を一人で抱えてしまうと家族の介護疲れに繋がることは間違いないです。

 

虐待は決していけないことだけど、人間、誰にでも虐待に繋がる要因があるため周囲が支えることが非常に大事です。

養護者による虐待背景

・主虐待者は息子が一番多い

・主虐待者との同居している割合は8割

・虐待要因は認知症の症状が関連しているが今後、認知症罹患人数は増加していく

 

まとめ

今回は、高齢者虐待の報告状況と自宅養護者の背景についてまとめました。

 

高齢者虐待は介護事業所で増加しているけど、自宅での虐待件数は介護事業利用で避けることが出来ます。

 

入院した患者さんと介護している家族に寄り添って、必要な支援を提案するのも看護です。退院した後も家族が住みやすくする環境を整えていきましょう。

 

・介護事業所や施設での虐待報告数は増加している

・居宅サービス利用者が増え養護者による虐待件数は前年度から減少

・主虐待者は息子が一番多い

・虐待要因は認知症の症状が関連しているが今後、認知症罹患人数は増加していく

 

次回は、虐待の種類と高齢者虐待防止法について書いていきます!

 

看護学生、今日も頑張れ!!

 

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