
ビタミンB12不足で起こる貧血とは?仕組みと症状の解説&語呂合わせを伝授!


鉄欠乏性貧血は覚えたけど…ビタミンB12でも貧血って起こるの?しかも種類があるって本当?



栄養素不足によっても引き起こされる貧血を、“巨赤芽球性貧血”といいます。
巨赤芽球性貧血は、神経症状をともなうこともあるため、見落とすと実習や臨床でのアセスメントが難しくなります。
原因によっては「悪性貧血」という、ちょっと怖そうな名前の疾患にも関係し、混乱を招く可能性があります。
とはいえ、仕組みを理解すればしっかり整理できる内容です!
なぜビタミンの不足が貧血につながるのか? この記事で、臨床にもつながる知識として解説していきますね!」
- ビタミンB12の不足で起こる貧血のメカニズム
- 貧血の種類による違い
- 国家試験での出題傾向と考え方
ビタミンの欠乏症は、国家試験でも頻出の項目で、ビタミンB12は症状も特徴的で、差がつきやすいポイントです。
「なんとなく」で覚えていた内容を、「自信が持てる知識」に変えて、国家試験を突破しましょう!
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ビタミンB12とは?


ビタミンB12は、シアノコバラミンと呼ばれる水溶性ビタミンのひとつで、赤血球を正常に作るために欠かせない栄養素です。
赤血球との関係や、似た役割を持つ「葉酸」との違いについて整理しましょう。
ビタミンB12と赤血球の関係
赤血球は、男性で420~550万 /μL、女性で380~510万 /μLと、体内に多く存在しています。
赤血球は、骨髄で作られ、古くなると脾臓で壊されます。
“新しい赤血球”を作るためには、DNA合成が必要です。
DNA合成に深く関与しているのがビタミンB12であり、赤血球の元になる赤芽球が成熟するために力を発揮します。



正常な赤血球を作るために、欠かせない栄養素なのです!
ビタミンB12と葉酸の違い
ビタミンB12と葉酸は、赤血球の成熟を助けるパートナーのような関係です。
違いは、以下の表をご確認ください!
ビタミンB12 | 葉酸 | |
---|---|---|
主な作用 | DNA合成神経機能の維持と修復 | DNA合成 |
欠乏による影響 | 巨赤芽球性貧血神経症状 | 巨赤芽球性貧血 |



神経症状の有無がポイントですね!
ビタミンB12不足による貧血とは?


ビタミンB12が不足すると、体内ではさまざまなタイプの貧血が発生します。
代表的な2つのタイプの違いや特徴について見ていきましょう。
巨赤芽球性貧血とは?
ビタミンB12が不足すると、赤血球のもとである「赤芽球」が正常に成熟できず、未熟で大きな細胞(巨赤芽球)に変化します。
巨赤芽球は十分に機能しないため、正常な赤血球数の減少や、サイズの異常がみられるようになります。
貧血は、赤血球のサイズに応じて分類されます。
- 巨赤芽球性貧血のように赤血球が大きいもの → 大球性貧血
- 鉄欠乏性貧血のように赤血球が小さいもの → 小球性貧血



赤血球は、ビタミンB12がないとうまく育たず「巨赤芽球」が増えてしまうんですね
特徴と主な症状は、以下のとおりです。
- 貧血症状:動悸、息切れ、疲労感、めまい、立ちくらみが典型的
- 消化器症状:食欲不振、下痢、便秘、舌の痛みや炎症(ハンター舌炎)、味覚障害
- 神経症状:手足のしびれやチクチク感、バランス障害、歩行不安定、知覚障害が特徴的
- 精神・粘膜症状:舌がテカテカになる、口角炎、精神症状(妄想、悪夢など)
代表的な検査所見は以下の6つです。
カテゴリー | 所見項目 | 補足 |
---|---|---|
血液検査 | ①MCV高値 | 大きさを表す平均赤血球容積(MCV)が100以上と増大 (通常は80~100) |
②網状赤血球数低下 | 網状赤血球(赤血球の赤ちゃん)が少ない赤血球産生がうまくいっていない | |
③ 好中球の過分葉 | 好中球の核が通常より多く分かれている | |
④ LD上昇 | 無効造血や溶血によって上昇 | |
⑤ ビタミンB12・葉酸の低下 | 欠乏の有無の確認 | |
骨髄検査 | ⑥ 巨赤芽球の出現 | 骨髄で大きく異常な赤芽球が認められる |
実習で、受け持ち患者さんが「貧血」状態であれば、貧血の種類を調べるためにヘモグロビン以外の項目を確認して、関係性を確認しましょう。
悪性貧血とは?
巨赤芽球性貧血のうち、ビタミンB12が体内に吸収されにくくなる状態を「悪性貧血」といいます。
原因は「内因子」という物質が欠乏するためです。
内因子は、胃の壁細胞から分泌されるタンパク質で、ビタミンB12と結合して小腸での吸収を助ける役割を担っています。
内因子が、自己免疫反応などにより分泌されなくなると、小腸での吸収がうまくいかず、体内で不足してしまいます。
悪性貧血のポイントは以下のとおりです。
- 原因:内因子の欠乏(胃の萎縮・胃の切除・自己免疫疾患など)
- 特徴:高齢者に多い
- 検査所見:内因子抗体が陽性
巨赤芽球性貧血と悪性貧血の関係
巨赤芽球性貧血は「大きく未熟な赤血球(巨赤芽球)」が増える貧血であり、その中でもビタミンB12が吸収できないことが原因で起こるのが「悪性貧血」です。
両者の関係は、以下のように整理できます。
- 親(大分類):巨赤芽球性貧血
- 子(原因のひとつ):悪性貧血


ビタミンB12が不足する原因は?
ビタミンB12は、食事により摂取された後、胃で「内因子」と結合し、小腸の回腸で吸収されます。
吸収過程のどこかに不具合が生じると、食事で摂っていたとしても、体内での吸収がうまくいかずに欠乏状態になります。
主な原因は、以下のとおりです。
分類 | 具体例 | ポイント |
---|---|---|
内因子の欠乏 | 萎縮性胃炎胃の全摘後自己免疫性胃炎 | 内因子が分泌されず、ビタミンB12が吸収されない |
食事性 | 菜食主義偏食摂食障害 | 動物性食品に多く含まれるため不足しやすい |
吸収障害 | クローン病回腸切除術後や慢性下痢などの腸疾患 | 吸収部位(回腸)に障害がある |
その他 | アルコール依存症薬剤性(メトトレキサート等) | 吸収・代謝に影響を及ぼすことがある |
メトトレキサートは、関節リウマチ等で使用される薬剤で、ビタミンB12や葉酸の代謝を阻害しやすい傾向があります。



実習では以下の点も考慮してアセスメントをしましょう
- 胃の手術歴(胃がんなど)を持つ患者さん
- ベジタリアン・ビーガンの方
- 長期にわたって下痢を繰り返しているケース
- 高齢者(消化吸収機能の低下)
ビタミンB12の吸収が低下するリスクを持つ患者さんは、貧血症状や神経症状の有無を意識して観察しましょう。


貧血症状の特徴と覚え方
ビタミンB12が不足すると「一般的な貧血症状」+「神経症状」がセットで出るのが特徴です。
一般的な貧血症状(鉄欠乏性貧血とも共通) | 倦怠感 疲れやすさめまい 立ちくらみ動悸 息切れ 顔面蒼白 頭痛 |
ビタミンB12欠乏で特に注意すべき症状(神経・舌など) | 手足のしびれ 感覚の鈍さ(末梢神経障害) 歩行のふらつき(深部感覚障害) ハンター舌炎(舌が赤くツルツルになる) 記憶力や集中力の低下 |
ゴロで覚えるビタミンB12欠乏症状
「B12欠乏は、舌ツル・ビリビリ・でっかい赤」
- 舌ツル:舌炎(ハンター舌炎)
- ビリビリ:神経症状(しびれ・感覚障害)
- でっかい赤:巨赤芽球性貧血(大球性)
この語呂合わせをゴロを活用して、覚えにくい専門用語も得点アップにつなげましょう!


ビタミンB12に関する実習・臨床でのアセスメントポイント


ビタミンB12欠乏による症状は、患者さんのふらつきや手の震え、舌が痛いなどの訴えから気づける場合もあります。
既往歴や食事内容の聞き取り、栄養吸収障害のリスクを見抜くことも、看護師に求められる大切な視点です。
以下の観察項目を参考にしてください。
観察項目 | アセスメントの視点 |
---|---|
症状の訴え | 倦怠感、めまい、動悸などの有無 |
神経症状の有無 | しびれ、感覚の鈍さ、ふらつきの有無を確認 |
舌の状態 | 舌が赤くツルツルしていないか(ハンター舌炎) |
既往歴の確認 | 胃の切除歴、慢性胃炎、消化器疾患の有無 |
食事内容の傾向 | 菜食中心、偏食、栄養状態に偏りがないか |
補講や手指の動作 | バランスを崩していないか 細かい作業ができるか |
検査データ | 赤血球・Hb・MCV・ビタミンB12値の確認 |
患者さんが認識していない生活習慣もあるため、食事風景や日頃のコミュニケーションで嗜好調査するのも意識しましょうね。
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看護師国家試験に出題しやすいビタミンB12の異常


ビタミンB12に関する問題は、の国試でも繰り返し出題されています。
特に、次のようなパターンで問われることが多いため、押さえておくべきポイントをしっかり確認しておきましょう。
出題パターン | おさえておくべきポイント |
---|---|
貧血の分類を問う問題 | 大球性 → ビタミンB12 または 葉酸の欠乏が原因 |
症状・特徴から疾患を推測させる問題 | 「しびれ・舌炎・歩行障害」→ ビタミンB12欠乏を推測 |
原因や検査所見に関する問題 | 「内因子抗体陽性」→ 吸収障害による悪性貧血と判断 |
ビタミンB12に関連した看護師国家試験を解いてみよう!


第110回(2021年実施)午後25問
巨赤芽球性貧血の原因はどれか。
- ビタミンA欠乏
- ビタミンB12欠乏
- ビタミンC欠乏
- ビタミンE欠乏
- ビタミンK欠乏
答え
2 ビタミンB12欠乏
巨赤芽球性貧血は、赤血球の成熟に必要なDNA合成が妨げられることによって発症します。
DNA合成に必要なのが「ビタミンB12」と「葉酸」のため、不足すると骨髄に未熟な巨赤芽球が増加します。
他の選択肢は、以下のような特徴があります。
- ビタミンA:視覚や皮膚粘膜の維持に関与(貧血との直接関係なし)
- ビタミンC:壊血病などの原因、鉄吸収には関与するが今回の問題とは無関係
- ビタミンE:抗酸化作用(貧血との直接関係なし)
- ビタミンK:血液凝固因子の合成に関与(出血傾向に影響)
第110回改変(2021年実施)午前86問
悪性貧血で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 貧血のうち90%以上を占める。
- 異食症が出現する。
- 小球性の貧血である。
- 胃癌の発症率が高い。
- 自己免疫機序で発症する。
答え
4 胃癌の発症率が高い。
5 自己免疫機序で発症する。
悪性貧血とは、ビタミンB12が吸収できなくなることで起こる巨赤芽球性貧血の一種です。
原因は、自己免疫反応によって胃の壁細胞が破壊され、「内因子」が分泌されなくなるためです。
慢性的な胃の萎縮や自己免疫性胃炎と関連しており、胃がんのリスクが高まりやすいです。
他の選択肢は、以下のような特徴があります。
- 鉄欠乏性貧血が最も多く、悪性貧血はごく一部
- 異食症は鉄欠乏性貧血に見られる特徴(例:氷を食べたくなる)
- 「大球性」の貧血であり、「小球性」ではない
第113回(2023年実施)午後78問
胃癌の胃切除術後5年ほどで欠乏し貧血を起こさせるのはどれか。
- ビタミンA
- ビタミンB1
- ビタミンB12
- ビタミンC
- ビタミンK
答え
3 ビタミンB12
ビタミンB12は胃で分泌される「内因子」と結合して、回腸で吸収されます。
胃を切除すると内因子が分泌されなくなり、数年かけてビタミンB12の体内貯蔵が枯渇し、約3~5年後に欠乏症が現れる傾向があります。
胃の術後管理では、栄養状態の経過観察が重要です。


巨赤芽球性貧血と悪性貧血を押さえて得点アップへ
「貧血=鉄不足」というイメージが一般的かもしれませんが、看護師国家試験ではビタミンB12の欠乏による貧血(巨赤芽球性貧血・悪性貧血)も頻出です。
ビタミンB12欠乏による貧血は、神経症状や消化器症状を伴うため、実習や臨床でも見逃せないポイントです。
この記事では、以下の点について整理しました。
- ビタミンB12または葉酸の不足が原因となる貧血がある
- 神経症状が出るのはビタミンB12のみ(葉酸欠乏では出ない)
- 悪性貧血は「内因子」の欠乏による吸収障害が原因
国家試験対策には、語呂合わせも活用してみてくださいね。
「B12欠乏は、舌ツル・ビリビリ・でっかい赤」
- 舌ツル:舌炎(ハンター舌炎)
- ビリビリ:神経症状(しびれ・感覚障害)
- でっかい赤:巨赤芽球性貧血(大球性)
知識は単なる暗記ではなく、「なぜ?どうして?」と考えながら理解できると合格に近づけます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
このブログ記事が、あなたの国家試験対策や実習でのアセスメント力の向上に、少しでもお役に立てたならうれしいです。
焦らず、自分のペースで着実に力をつけていきましょう。
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海外に10カ国以上行きましたが…新しい世界は楽しいです♪しゃべれなくてもアプリが話してくれたり、Instagramで気になるところはアプリで行けたり…今どきの海外旅行は本当に便利。
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