
看護学生向け|迷走神経反射とは?症状・看護ケア・国家試験対策を徹底解説!


迷走神経反射って、何のこと?
採血のときになる人がいるって聞いたことはあるけど



どうして血圧が下がるんだろう?



採血中に意識レベルが低下したり、倒れたりする患者さんが多いです。事前の観察とケアが大切なので、一緒に学習していきましょう!
迷走神経反射は、若い人にも起こりやすい、医療現場でよく遭遇する反応のひとつです。
意識が急にもうろうとしたり、血圧が大きく下がったりすることもあるため、落ち着いて迅速に対応する力が求められます。
また、事前の観察や声かけでリスクに気づける場合もあるため、普段から患者さんの反応を丁寧に見る視点が大切です。
国家試験では、「出血」「低血糖」「迷走神経反射」など、似たような症状が出る選択肢の中から、それぞれの違いを正しく見分けられるかが問われます。
- 迷走神経反射のメカニズム
- 迷走神経反射の症状と経過
- 看護ケアで大切なポイント
- 国家試験での出題例と選択肢の見分け方
国試や実際の現場でも役に立つ知識なので、しっかり理解しておきましょう!
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迷走神経反射とは?特徴と発症時の対応


迷走神経反射は、処置や緊張などをきっかけに血圧や脈拍が下がり、気分不良や失神を引き起こす反応です。
転倒などの危険があるため、現場では素早く適切な対応が求められます。
採血や排便、内視鏡検査などの場面で起こりやすいため、原因や症状、対応方法を正しく理解しておきましょう。
迷走神経反射の定義
迷走神経反射とは、痛みや精神的ストレスなどをきっかけに、自律神経(副交感神経)の一時的な過剰反応が起こることで、血圧や脈拍が下がり、失神や気分不良を起こす現象です。
※迷走神経とは・・・
副交感神経の一種で、心臓や消化器などの内臓機能をコントロールする役割を担っています。
迷走神経反射の基礎知識
迷走神経反射は、処置や検査中、緊張が高まっているときなど、医療の現場でしばしば見られます。
看護師としてメカニズムと対処法を正しく理解しておきましょう。
迷走神経反射はなぜ起こる?
私たちの体には、交感神経と副交感神経という2つの自律神経があり、バランスを取りながら働いています。
しかし、急激な痛みやストレスなどの刺激が加わると、副交感神経が一時的に過剰に働きすぎてしまうことがあります。
このとき、心拍数が減り、血管が広がることで血圧が急に低下し、脳への血流が一時的に減少するため、意識がもうろうとしたり、失神したりすることがあります。
迷走神経反射の主な誘因と症状
迷走神経反射が誘発されやすい誘因は、以下のとおりです。
- 痛み(注射や処置の痛みなど)
- 強い緊張や不安(検査前、処置直前など)
- 長時間の立位(立ち仕事、式典など)
- 排尿・排便時のいきみ
- 採血・内視鏡検査などの医療処置
- 空腹や脱水、睡眠不足、疲労
これらの誘因によって、自律神経のバランスが急激に崩れると、次のような症状が現れることがあります。
- 血圧低下
- 徐脈(脈が遅くなる)
- 顔面蒼白
- 冷や汗
- 一時的な意識消失



本人は『気分が悪い』と言うことが多く、直前にめまいや吐き気、顔色が急に悪くなるなどの前ぶれがあることもあります。


迷走神経反射の経過
迷走神経反射は多くの場合、数分で自然に回復します。
命にかかわることはほとんどなく、後遺症も残らないのが一般的です。
ただし、症状の影響で転倒してケガのリスクがあるため、早めに気づき安全を確保することが大切です。



あらかじめ『採血が苦手かどうか』をお聞きして、ベッドで横になった状態での採血も検討しましょう。
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迷走神経反射が起きたときの看護対応


迷走神経反射が起きた場面では、慌てず落ち着いて対応することが大切です。
ここでは、看護師が実際に行う対応について解説します。
① 初期対応:安全の確保と循環サポート
めまいや吐き気、冷や汗などの兆候が見られたら、すぐに仰臥位(あおむけ)や横向きにします。
下肢を少し高く上げた体位を調整すると、脳への血流が促されます。
無理に歩かせず、その場で安静にすることが大切です。



意識や呼吸の状態を確認しながら、落ち着いて行動しましょう。
② 環境の整備と心理的サポート
周囲に人が集まらないように配慮し、静かな環境を整えます。
寒気を訴える場合には、毛布などで体温調節をサポートします。
嘔吐する人もいるため、ガーグルベースンを用意しておくと安心です。
患者さんの不安に寄り添い、優しく声をかけて安心する環境整備が大切です。



ただ横にして終わりではなく、『今の状態はどうかな?』と観察しながら、安全確保をします。
③ 観察と記録:状態の変化をチェック
バイタルサインを確認します。
意識レベルや顔色、発汗の有無なども観察し、カルテに記録します。
カルテには、迷走神経反射が起こったシチュエーションや患者さんの言動(S情報)を加えると、
今後、対応する医療従事者とも情報共有ができ、予防対策につながります。



体調が変化することもあるため、経過観察が大切です。
④ 医師への報告と治療の検討
意識レベルが低下している、呼吸が浅いなどの異常が見られる場合は、すぐに医師に報告します。
必要に応じて、点滴などの処置が指示されます。
⑤ 処置後のケアと再発予防
採血が原因の場合は、しばらくベッド上で安静にします。
バイタルサインが正常で、顔色や気分に問題がなければ、帰宅判断も検討します。
また、迷走神経反射を起こしやすい体質や要因(疲労、空腹、緊張)について患者さんに伝え、
事前にできる予防策を一緒に考えることも大切です。



「迷走神経反射=こわいもの」ではなく、正しく対応すればすぐ回復することが多いと知ってもらうだけでも、患者さんの安心に繋がります。
迷走神経反射の国家試験での出題について


国家試験では、「顔面蒼白」「冷や汗」「血圧低下」などの症状が登場する設問で、「出血」「低血糖」「迷走神経反射」など、似たような選択肢の中から正しい病態を見分けられるかが問われます。
<選択肢の例>
・出血性ショック ⇒ 出血の有無、脈拍の変化をチェック
・低血糖 ⇒ 血糖値や既往歴(糖尿病など)をヒントにする
・迷走神経反射 ⇒ 急激なストレスや痛み、不安などの誘因があるかどうかがカギ



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国家試験の過去問と解説


迷走神経反射は、他の疾患と症状が似ているため、正しく読み取れるか問われやすいテーマです。
過去の国家試験で、実際に出題された問題を確認してみましょう。
第108回 午後91問(疾病と看護)
次の文を読み問題1に答えよ。
Aさん(52歳、男性)は、5年前にC型肝炎、肝硬変と診断され、1回の入院歴がある。
退院後、医療機関への受診を中断し3年が経過している。
毎日、ウイスキーを約300mL飲んでいる。夕食の2時間後に約1,100mLの吐血があり、緊急入院となった。
身体所見:体温35.4℃、呼吸数26/分、脈拍122/分、血圧86/42mmHg、顔面は蒼白、冷汗を認める。
意識は清明だが不安げな表情をしている。
検査所見:赤血球278万/μL、Hb 8.4g/dL、総ビリルビン4.1mg/dL、アンモニア188μg/dL、K 3.9mEq/L、血糖102 mg/dL。
問題1:入院時のAさんの状態として考えられるのはどれか。
- 低血糖発作
- 急性アルコール中毒
- 食道静脈瘤破裂
- 迷走神経反射
答え
2. 食道静脈瘤破裂
<解説>
2. 食道静脈瘤破裂(正答)
C型肝炎や肝硬変では、肝臓が血液をうまく受け入れられなくなり、門脈圧が上昇します。
その結果、食道や胃の静脈に瘤(こぶ)ができやすくなり、それが破れることで消化管出血が起こります。
この問題では、「肝硬変の既往」「約1,100mLの吐血」「血圧低下と頻脈」といった出血性ショックの典型的な所見がそろっており、最も妥当なのは 「食道静脈瘤破裂」です。
また、選択肢にある迷走神経反射も血圧低下や顔面蒼白の症状が出るため、見間違えやすいです。
迷走神経反射は「一時的な自律神経の反応」で、出血や循環血液量の減少などの器質的な異常はありません。
「吐血」や「出血量」が明らかなケースでは、反射ではなくショックを疑うことが重要です。
<その他の選択肢の解説>
1. 急性アルコール中毒
短時間に多量のアルコールを摂取した場合、意識障害や呼吸抑制を伴って起こる中毒症状です。
Aさんは飲酒習慣はあるものの、意識は清明であるため急性アルコール中毒ではありません。
3. 迷走神経反射
痛みやストレスによる一過性の自律神経反応で、血圧低下や徐脈、失神を伴うことがありますが、1,100mLという大量吐血による循環血液量の減少が明らかな場合は適応されません。
今回は反射ではなく出血性ショックと判断します。
4. 低血糖発作
血糖値が低下することで意識障害や交感神経症状(冷汗、頻脈など)を示します。
Aさんの血糖値は102mg/dLで正常範囲内であり、低血糖発作は考えにくいです。



迷走神経反射と見間違えそうな症状でも、「原因は何か?」をたどることが国家試験ではとても大切です。
第102回 午後84問(診療の補助)
大腸内視鏡検査について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 検査前日の朝から絶食とする。
- 腸管洗浄液は6時間かけて内服する。
- 迷走神経反射によって血圧が低下する可能性がある。
- 検査後に嚥下障害を生じる可能性がある。
- 検査後に下血の有無を観察する。
答え
3:迷走神経反射によって血圧が低下する可能性がある。
5:検査後に下血の有無を観察する。
<解説>
3. 迷走神経反射によって血圧が低下する可能性がある(正答)
腸管洗浄液の内服中や大腸内視鏡の挿入時に、腸管の刺激によって迷走神経反射が引き起こされることがあります。
その結果、血圧の低下・徐脈・気分不良などの症状が出現することがあるため、体調変化の早期発見と声かけが重要です。
5. 検査後に下血の有無を観察する(正答)
大腸内視鏡検査では、ポリープ切除や組織採取(生検)を行うことがあり、その後に出血が起こることもあります。
また、もともと下血があって検査を受けた患者さんの場合は、検査後に出血が増えていないかどうかを確認するためにも、しばらく観察が必要になります。
<その他の選択肢の解説>
1. 検査前日の朝から絶食とする(誤答)
前日の朝からではなく、通常は前日の夕食から絶食し、検査前に腸管洗浄液を服用します。
2. 腸管洗浄液は6時間かけて内服する(誤答)
通常、腸管洗浄液は約2リットルを2時間程度で服用します。
6時間かけるのは時間がかかりすぎであり、検査に支障が出ることもあります。
4. 検査後に嚥下障害を生じる可能性がある(誤答)
嚥下障害が問題になるのは、上部消化管内視鏡(胃カメラ)で咽頭麻酔を行った場合です。
大腸内視鏡では、咽頭への麻酔は関係ないため、嚥下障害は起こりません。



『迷走神経反射』と聞くと特殊に感じるかもしれませんが、日常的な検査中にも起こることがあるので注意が必要です。
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迷走神経反射を理解して、国試も臨床も怖くない!
迷走神経反射は、一時的な反応とはいえ、現場ではしっかり観察し、落ち着いて対応することが求められます。
国家試験でも、似たような症状が並ぶ中で「正しく見分ける力」が問われます。
基礎から丁寧に理解しておくことが大切です。
- 自律神経(副交感神経)の過剰反応によって起こる一過性の反応
- 誘因:痛み、不安、立位、排便、採血、内視鏡など日常的な処置に多い
- 主な症状:徐脈、血圧低下、顔面蒼白、冷汗、意識消失(失神)
- 対応:仰臥位で足を高くし、静かに安静を保つ、バイタルサインを測定する
- 国家試験では、低血糖や他の疾患との判別がポイント
国家試験では「なんとなく症状が似ているから」という理由だけで選ばずに「この人に何が起きているのか?」を丁寧に読み解くことが大切です。
国家試験本番でも、実際の看護の現場でも、落ち着いて判断し、行動できる力が求められます。
知識は自信に、そして確かな看護につながります。
今回の解説が、あなたの学びと国家試験対策の支えとなれば嬉しいです。
これからも一緒に、一歩ずつ前に進んでいきましょうね。
応援しています!
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