夜間せん妄と家族の対応｜看護師国家試験に役立つポイントを徹底解説！

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せん妄は、一時的に意識が混乱する状態で、特に夜間に症状が強くなる場合は『夜間せん妄』と呼ばれます。

高齢者や術後の患者さんに多く、急な症状の変化に驚いたご家族から『急におかしくなった』と相談を受けることも少なくありません。

看護師には、状況を見極め、適切な説明と対応力が求められます。

看護師国家試験では、せん妄の症状や家族への説明、予防・対応に関する問題が複数回出題されています。

高齢者や術後の患者さんに見られる夜間せん妄は、実際の臨床現場でも遭遇しやすく、現場での理解力と対応力が問われるテーマです。

せん妄への理解は、国家試験の合格はもちろん、現場での安心した対応にもつながります。

今後も出題される可能性が高いため、しっかりと学んでおくことが合格への近道となります。

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夜間せん妄とは？用語と知識を整理しよう

「夜間せん妄」について、定義や症状についてわかりやすく説明します。

夜間せん妄の定義

せん妄とは、一時的な意識障害で、時間や場所、人の認識があいまいになったり、幻覚が見えたりする状態を指します。

その中でも、特に夜間に症状が強く現れる場合、「夜間せん妄」と呼びます。

夜間せん妄とせん妄の違いとは？

「せん妄」とは、急に起こる一時的な意識障害のことです。

意識がはっきりしなくなり、時間や場所、人がわからなくなったり、幻覚や妄想などもあります。昼夜を問わず発症するのが特徴です。

暗さや静けさ、不眠や環境の変化などが影響し、高齢者に起こりやすい傾向があります。

主な症状

一時的な意識障害ですが、意識消失とは異なる点に注意しましょう。

主な症状には、以下のようなものがあります。

1. 興奮や大声で叫ぶ
2. 場所や時間がわからなくなる
3. 被害妄想：「誰かに狙われている」など
4. 落ち着きがなくなる：ベッドから降りようとするなど
5. 幻視や幻聴：実際にはいない人が見える、声が聞こえるなど

夜間せん妄が起こりやすい人の特徴とよくある場面

夜間せん妄が起こりやすいのは、以下のような患者さんです。

• 高齢者
• 手術後や入院初期の患者
• 感染症や脱水がある方
• 睡眠不足や環境の変化がある方

手術後は麻酔が影響します。覚醒後に、場所が分からない「見当識障害」は若い方も時々あります。

入院初期の患者さんは、慣れない病院環境が影響しやすい傾向があります。

「病室の照明」「ナースコールの音」「体位変換」など、日常とは異なる状況が患者さんの認知に負担をかけ、せん妄の引き金になる可能性があります。

感染症や脱水などの身体的ストレスも、せん妄を引き起こす要因のひとつです。

体内のバランスを崩し、脳の機能に一時的な混乱をもたらすことで、せん妄の発症につながるケースがあります。

高齢の患者さんでは、わずかな体調の変化が認知機能に影響を及ぼすことがあり、注意が必要です。

看護師が行うべき対応と家族へのサポート

夜間せん妄への対応は、患者さんの安全確保の他に、ご家族の不安や混乱にも寄り添ったケアが求められます。

現場で看護師が行うべき、基本的な対応ポイントについて整理します。

看護師が行うべき対応ポイント

夜間せん妄の患者さんには、以下のような対応を行うことが大切です。

落ち着いた口調でゆっくり話しかける

患者さんは混乱しやすい状態のため、急に大きな声をかけると、さらに不安や興奮が強まるおそれがあります。

落ち着いた声で、ゆっくりと丁寧に話すことで「安心できる環境」が伝わると、症状の悪化を防ぎやすくなります。

照明や音など、刺激をできるだけ少なくする

夜間せん妄は、光や音など環境からの刺激によって悪化する場合があります。

病室の照明を暗めに調整したり、ナースステーションの物音が響かないよう配慮したりすることで、患者さんの混乱を事前に避けやすくなります。

言動を否定せず、まずは受け止める

せん妄のある患者さんには、幻覚や妄想など、現実とは異なる言動が見られることがあります。

「そんなことないですよ」と否定してしまうと、かえって不安や怒りを招くことも。

患者さんの訴えには「そう感じたんですね」「怖かったですね」などと、共感して受け止める姿勢が大切です。

観察内容や誘因を記録に残す

せん妄の発症には、環境や体調の変化が関係する場合が多いため、「いつ」「どのような状況で」「どんな様子だったか」を記録すると、次の対応につながります。

術後の患者さんでは、疼痛（痛み）がせん妄のきっかけになる場合があります。

痛みによる不安や不眠がせん妄を引き起こすケースもあるため、事前の疼痛コントロールがとても重要です。

ご家族への説明のポイント

夜間せん妄は、ご家族にとっても突然の出来事で不安や驚きが大きいものです。

以下のような説明やアドバイスが、ご家族の安心につながります。

驚かせず、ゆっくりと声をかけるよう伝える

 せん妄の患者さんは、周囲の刺激に敏感になっています。

ご家族にも「いつもより少し落ち着いた声で、ゆっくり話しかけてあげてくださいね」と伝えることで、安心感のある接し方を促せます。

否定せず感じていることを受け止める姿勢を促す

幻覚や妄想などの言動が見られる場合でも、ご本人にとっては「現実」で感じています。

「そんなことあるわけないでしょ」と否定するのではなく、「そう感じたんですね」と受け止める姿勢が、患者さんの不安を和らげます。

ご家族にも「無理に正そうとせず、気持ちに寄り添ってくださいね」と伝えます。

普段通りの話し方や表情で接する

ご家族が過度に心配した様子を見せると、患者さんも感じ取って、不安を強めてしまうことがあります。

家族には「普段通りの声かけや笑顔で接してあげてください」と伝えると、患者さんも安心できる雰囲気になります。

何かあれば看護師に知らせてもらう

ご家族が「自分たちで何とかしよう」と頑張りすぎてしまうと、かえって事態が悪化してしまうこともあります。

「困ったときは、すぐに私たちを呼んでくださいね」と伝えておくと、ご家族の安心にもつながり、患者さんへの対応もスムーズになります。

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夜間せん妄の看護師国家試験での出題傾向について

夜間せん妄に関する看護師国家試験で出題されているポイントは、以下です。

• せん妄の特徴：発症のタイミング・症状
• 対象となる患者像：高齢者・術後・認知症など
• 家族への説明や看護師の対応
• 類似症状との鑑別：せん妄と認知症の違いなど
  

「状況設定問題」や「家族とのコミュニケーション」に関する問題に登場しやすく、単なる知識ではなく状況判断力を問われるケースがあります。

国家試験の過去問と解説

夜間せん妄に関する、実際に出題された問題を確認しましょう。

第108回午前66問（精神疾患・障害）

入院患者のせん妄に対する予防的介入で適切なのはどれか。

1. 可能な限り離床を促す。
2. 昼間は部屋を薄暗くする。
3. 家族や知人の面会は必要最低限にする。
4. 夕方に短時間の睡眠をとることを勧める。
   

解説

せん妄の予防には、昼夜のリズムを整えることが重要です。日中は起きて活動することで夜間の良質な睡眠が促されます。「離床を促す」ことは、身体活動の維持や睡眠覚醒リズムの安定に寄与し、せん妄予防の基本です。

昼間に部屋を薄暗くする（選択肢2）ことは生活リズムを乱す要因に。夕方の昼寝（選択肢4）も夜間の睡眠を妨げる可能性があります。家族の面会を制限する（選択肢3）のは、患者の不安を増長させるおそれがあるため適切ではありません。

第103回午後56問（高齢者に特有の症候・疾患）

Aさん（80歳、男性）は、肺炎と高血圧症で入院している。入院日の夜からAさんにはせん妄の症状がみられる。Aさんの家族は「しっかりした人だったのに急におかしくなってしまった」と動揺している。
せん妄についてAさんの家族への説明で正しいのはどれか。

1. 「認知症の一種です」
2. 「昼間に起こりやすいです」
3. 「一度起こると治りません」
4. 「環境の変化で起こることがあります」
   

解説

せん妄は「急に起こる一時的な脳機能の混乱」です。入院環境の変化は、発症要因の一つとして知られています。家族に対して「認知症とは異なり、回復可能な状態であること」「環境による影響が大きいこと」を丁寧に説明することが大切です。

「認知症のように進行するものではない」点を伝え、サポートする必要があります。

第99回午後84問（高齢者の術後看護）

胆石で胆囊摘出術後2日の78歳の女性。認知症はなかったが、昨夜から面会に来た家族の声かけに反応が鈍かったり、突然興奮して起き上がるなどの行動がみられる。
対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1. 家族に面会を控えるよう話す
2. 起き上がらないように拘束する
3. ドレーン類は直接目にふれないようにする
4. 意識レベルを把握できるよう鎮痛薬は使わない
5. 手術のために入院していることを穏やかに説明する

解説

術後せん妄が疑われるケースでは、安全確保と同時に、患者さんの不安を和らげる環境づくりが必要です。

「医療器具を目に触れないようにする」ことは、混乱によるドレーンを引き抜くリスクを下げます。5の「現実を穏やかに説明する」対応は、リアリティオリエンテーション（現実見当識）として有効です。

面会制限や拘束は患者の不安を悪化させる可能性があり、慎重に判断すべき対応です。鎮痛薬も、痛みによるせん妄誘発を避けるため適切に使用する必要があります。

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夜間せん妄と家族の対応｜国試にも現場にも役立つ“寄り添う看護”

夜間せん妄は、誰にでも起こりうる一時的な意識障害です。

特に高齢者や術後の患者さんに多く見られ、突然の言動に看護師やご家族も戸惑うことがあります。

国家試験では、単なる知識よりも「その場でどう対応するか」を考える力が求められます。

症状の背景を想像し、落ち着いて行動できるよう、日ごろからイメージしておくことが大切です。

国家試験では、せん妄というキーワードに飛びつく前に、選択肢の中の「声かけ」や「環境調整」に注目すると正答が見えてきやすいですよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

このブログ記事が、あなたの看護師国家試験対策に少しでも役立てば嬉しいです。

無理せず、自分のペースで取り組んでくださいね。

応援しています！