
鏡面像とは?看護学生必見!イレウスを瞬時に見分ける画像所見を解説


授業で“鏡面像”って出てきたけど、実際のレントゲンを見てもよく分からない…。イメージしづらいんですよね。



“鏡面像”は“ニボー像”とも呼ばれ、イレウスのレントゲンでみられる像を意味しています。
腸閉塞(イレウス)の患者さんは、腸管内に液体とガスが混在し、水平に分かれて見えることがあります。
X線画像が「鏡に映ったような像=鏡面像」と表現されるのです。
画像所見は、機械的イレウスの診断の手がかりとして重要であり、国家試験では一般問題に登場しています。
- 鏡面像(ニボー像)の定義と仕組み
- 鏡面像が見られる病態と観察のポイント
- 国家試験における出題傾向と対策
正しく理解しておけば、得点源になります!
患者さんの異常にいち早く気づける看護師になるためにも、学んでいきましょう!
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鏡面像(二ボー像)とは?


鏡面像(ニボー像)の仕組みについて解説しますね。
- 鏡面像の画像所見
- 鏡面像とニボー像の意味と由来
- ガスと液体が腸内で分離する仕組み
鏡面像の定義と由来
鏡面像とは、X線写真で腸管内の液体とガスが上下にくっきりと分かれて写る、特徴的な画像所見です。
医学的には「ニボー像(niveau像)」とも呼ばれ、「niveau」はフランス語で「水面」や「水平」を意味します。
腸内のガスと液体が水平に整然と並び、水面のように見える状態が、鏡に映ったように整然と並んで見えることから、日本語では“鏡面像”とも表現されます。
ガスと液体が腸内で分離する仕組み
イレウスは、腸の動きが悪くなり、内容物がうまく進まなくなることで、腸内に消化液やガスがたまった状態です。
腸のぜん動運動が弱まるか、完全に止まっている状態になります。
そのため、腸内の内容物は混ざらず重い液体は下に、軽いガスは上に分かれます。



ガスと液体の分離像は「腸の動きが止まり、内容物が停滞している」所見で、腸閉塞の診断に役立ちます。
鏡面像の画像所見
鏡面像は、腹部単純X線撮影(レントゲン)で確認できます。
立位で撮影したときに、液体とガスの境目が水平に積み重なったように見えるのが特徴です。
造影剤などを使わずに確認できるため、初期評価の重要な手がかりになります。
簡便な検査から腸閉塞の可能性を早期に察知できる、臨床的に重要な情報源です。


腸閉塞の基礎知識


2種類の腸閉塞の、違いをおさらいしましょう。
- イレウスの定義
- 機械的イレウスと麻痺性イレウスの違い
- 鏡面像が出現するタイミングと観察のポイント
イレウス(腸閉塞)
イレウスとは、腸の内容物が正常に移動できなくなる状態です。
消化が進まず、腸管内に液体・ガス・内容物が停滞します。主な症状は、以下があります。
- 腹部膨満
- 嘔吐
- 排ガス・排便の停止
- 腹痛(特に間欠的な疝痛「せんつう」)
“間欠的な疝痛”とは、痛みが強くなっては止まり、また痛み出す、周期的に繰り返される腹痛を指します。
機械的イレウスで見られ、臓器の平滑筋が痙攣して、感じる痛みで「内臓痛」の一種です。
周期的な痛みが徐々に出現し、腹部膨満や嘔気・嘔吐、排便・排ガスが出なくなるなどの症状を伴います。



嘔吐によって一時的に痛みが軽快することもありますが、再び溜まってくると痛みが強くなってくるので、継続的な観察が必要です。
機械的イレウスと麻痺性イレウスの違い
イレウスには2種類あり、原因や病態が異なります。
原因と出現率を比較してみましょう。
種類 | 原因 | 鏡面像の出現 |
---|---|---|
機械的イレウス | 癒着・腫瘍・腸重積などによる物理的な閉塞 | 出やすい/多数 |
麻痺性イレウス | 麻酔・薬剤・炎症などによる腸の運動停止 | 出にくい/少数 |
機械的イレウスは、急激な症状の悪化や鋭い腹痛が多く、患者さんの訴えで異変に気づくケースもあります。
症状によっては緊急手術が必要になることもあるため、早期発見と迅速な対応が必要です。
麻痺性イレウスは、腸の動きが鈍く、症状の進行もゆるやかです。
手術の後や炎症、薬の影響などで、腸の動きが低下している状態が多いです。
他にも、鏡面像が明らかではなく、腹部膨満感でも、痛みは比較的軽度な方もいます。



国家試験では「鏡面像= 機械的イレウス」が問われますが、現場では患者の訴え方や発症状況、全身状態などを総合的に見て判断する必要があります。
鏡面像が出現するタイミングと意義
鏡面像の所見は、イレウスの進行状況を判断する材料になります。
イレウスの初期は、腸の内容物が動いているため、ガスと液体がはっきりと分かれず、鏡面像は認められません。
時間の経過とともに内容物が腸内に停滞し、重い液体は下に、軽いガスは上に分かれて溜まるようになります。
結果、X線上で水平な境界線(鏡面像)がはっきり描出されるようになります。


腹部X線画像を確認する際、鏡面像がいくつも見られるようになると、腸閉塞が進行しているサインです。
嘔吐が強まったり、腹痛が急激に悪化したりするときは、腸管の絞扼(こうやく)や穿孔(せんこう)などの可能性があるため、バイタルサインや症状の変化に注意が必要です。
鏡面像は単なる画像所見ではなく、腸閉塞の重症度を判断するうえで活躍する材料になります。


過去の看護師国家試験と見抜き方
鏡面像(ニボー像)は、国家試験で繰り返し出題されている重要なキーワードです。
- 鏡面像に関する過去の一般問題の出題例
- 画像付き問題で問われる“パターン”とその見抜き方
腹部X線写真の読影問題や、イレウスを問われるため、画像と用語をセットで覚えておくことが得点アップのカギです。
第104回一般問題
成人の立位の腹部エックス線写真を別に示す。
この所見から最も考えられる疾患はどれか。


- 胆石症
- 腸閉塞
- 潰瘍性大腸炎
- 十二指腸潰瘍
答え
2.腸閉塞
設問のエックス線写真には、腸管の拡張、ニボー像(鏡面像)がみられるため腸閉塞と考えられる。
補足
1. 胆石症とは、胆のうや胆管に石(胆石)ができて、痛みや炎症を引き起こす病気。
3. 潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に炎症やびらんが生じる、原因不明の慢性疾患。
4. 十二指腸潰瘍の治療は、胃酸の分泌を抑える薬(PPIなど)やピロリ菌の除菌が中心。
第110回 一般問題
腸閉塞について正しいのはどれか。
- 仰臥位の腹部エックス線写真で鏡面像を認める。
- 経口による水分摂取は少量にする。
- イレウス管を小腸に留置する。
- 抗菌薬の投与は禁忌である。
答え
3.イレウス管を小腸に留置する。
イレウス管を挿入して、腸管の減圧を行う。
【補足】
1. 腸閉塞が疑われるときの腹部X線検査では、立位での撮影が基本。仰臥位で撮影しても、像ははっきり現れない。
2. 腸閉塞では、腸の通過障害があるため、原則として絶飲食。
4. 腸閉塞では、腸の中の細菌が血液中に入り込むおそれがあるため、抗菌薬が使われることがある。禁忌ではない。
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鏡面像は「イレウスのサイン」!
鏡面像(ニボー像)は、腸管内のガスと液体が水平に分かれて見える、腹部X線写真の特徴的なサインです。
イレウス(腸閉塞)によって腸の動きが止まり、内容物が滞ることで起こる現象です。
特に機械的イレウスでは鏡面像が現れることがあり、診断の手がかりになります。
- 立位での撮影が必要
- 機械的イレウス所見の特徴
- 中期以降の症状
国家試験では鏡面像に関する出題があり、体位や疾患ごとの出現パターンや、画像からの読み取りが問われます。
病態と画像所見のつながりを、イメージして覚えることが合格への近道です!
鏡面像を理解しておくと、現場でも「異常に気づける力」が身につきます。
腹痛を訴える患者さんの変化を見逃さず、適切に報告・連携できる看護師になれるよう、知識を身につけておきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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