
インフォームド・コンセントとは?看護学生が知っておきたい基本と実践


病院実習中、インフォームド・コンセントに同席することになりました。どうしたらいいですか?



初めての同席は緊張しますし、「何をすればいいの?」「どこを見ればいいの?」と不安になりますよね。
インフォームド・コンセントは、説明と同意と訳され、患者さんの権利を守る大切なプロセスです。
重要なテーマだからこそ、整理して学んでいくことが大切です。
この記事では、看護学生が押さえておきたいポイントをまとめました。
- インフォームド・コンセントの基礎知識
- 看護師の役割と実習での観察ポイント
- 国家試験のポイント
この記事を読めば、実習でも自信を持ってインフォームド・コンセントに同席でき、国家試験の対策にも役立ちます。
大切なポイントを押さえ、実習と国家試験に自信をもって臨みましょう!
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インフォームド・コンセントとは?基本をおさらい


インフォームド・コンセントは、医療現場や国家試験で、重要なキーワードです。
ここでは、基本的な意味や実際の流れをわかりやすく説明していきます。
インフォームド・コンセントの意味
インフォームド・コンセント(Informed Consent)は、日本語で「説明と同意」と訳されます。
医療行為を行う前に、患者さんに十分な説明(Informed)を行い、その内容を理解・納得してもらったうえで同意(Consent)を得る考え方です。
ここで重要なのは、単に説明してサインをもらうことが目的ではなく、患者さんが自分の状態や治療内容をきちんと理解し、納得したうえで治療を受けることです。
インフォームド・コンセントの基本的な流れ
インフォームド・コンセントの流れは、次の通りです。
難しい専門用語は使わず、患者さんの理解度に合わせて丁寧に説明します。必要に応じて図や資料を活用します。
わからない点があれば何度でも質問してもらいます。会話の中で患者さんや家族の理解度も確認します。
患者さんは、すべてを理解・納得したうえで、治療に同意します。通常は、同意書にサインします。
インフォームド・コンセントは「説明して終わり」ではなく、患者さんや家族が病気の状態・治療内容を理解し、納得してもらうことが大切です。


なぜインフォームド・コンセントが大切なの?


ここでは、患者さんの権利や医療倫理、法律との関係から、その重要性をわかりやすく解説します。
患者の「知る権利」と自己決定権
医療を受けるのは患者さん自身です。
自分の体の状態や、治療方法について十分な説明を受け(知る権利)
「治療を受けるかどうか」を自分で決める権利(自己決定権)が保障されています。
患者さんには以下の説明を主に行います。
- 治療内容
- 副作用のリスク
- 他の治療選択の提示
患者さんの「知る権利」と「自己決定権」を守るために、インフォームド・コンセントは行われます。
ヘルシンキ宣言が示す医療倫理の原則
ヘルシンキ宣言は、医療倫理の国際的な基準として、患者の権利と医療者の責任を定めています。
1975年の修正で、インフォームド・コンセントについて明記されました。
ヘルシンキ宣言は、医療研究や治療の場面で守るべき倫理原則を示しています。
医療に関わる内容は、次の考え方が挙げられます。
- 患者さんへの十分な説明と同意
- 患者の利益が最優先
- 危険や負担を最小限に
- 自由意思による同意が必要
実際の医療現場でも、大切にしている考え方です。
医療者の「説明する義務」と法的な位置づけ
医療者には、患者に対して十分な説明を行い、その理解を得る「説明努力義務」があります。
説明努力義務は、医療法第1条の4第2項に次のとおりに明記されています。
医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。
インフォームド・コンセントは、患者の権利を守るための医療倫理と法律の両方から支えられている重要な仕組みです。
医師だけでなく看護師も、日ごろからわかりやすい説明を心がけ、患者さんの理解を助けることが大切です。


インフォームド・コンセントの実践ポイント


インフォームド・コンセントは、ただ説明を行うだけではありません。
患者さんが本当に理解し、納得して治療を選べるよう、現場では様々な工夫やサポートが行われています。
ここでは、実践のポイントを説明します。
わかりやすく説明する
患者さんが理解・納得して治療を受けるためには、説明時の「わかりやすさ」は大切です。
説明を行う医療者は、次の点に注意しています。
- 落ち着いて話せる環境を整える
- 静かな場所や個室などプライバシーに配慮する
- 相部屋や人の出入りが多い場所では話しにくくなるため、配慮する
- 専門用語はなるべく使わない
- 難しい医学用語をそのまま使わない
- 患者さんが知っている言葉に置きかえる
- 図や資料を活用する
- 検査や手術の内容をイラストやパンフレットで説明すると、視覚的に理解しやすくなります。
- 一方的に話さず、間を取りながら説明する
- 説明の途中で区切りを入れ「ここまでで質問はありますか?」と声をかける
- 患者さんが考えたり、質問したりできる時間をつくる
医療者の伝え方の工夫次第で、患者さんの理解度や安心感は大きく高まります。
患者・家族の理解を確認する
インフォームド・コンセント場面では、専門用語や難しい内容が多く、患者さんは本当に理解できていなくても「わかりました」と答えてしまうことがあります。
そのため、説明を終えたら必ず「理解できているか」の確認が必要です。
理解度の確認の仕方としてよく使われるのが、患者さんに説明内容を自分の言葉で話してもらう方法です。
医師からの説明後に「どんな説明を受けましたか?」と質問し、説明内容を振り返ってもらいます。
もし回答が不十分であれば、もう一度説明を繰り返します。



家族が同席している場合は、家族の理解も確認し、納得して治療に進めるようサポートします。
看護師が行うサポート
インフォームド・コンセントは、看護師の役割も重要です。
看護師は、医師と患者さんをつなぐ架け橋として、次のようなサポートを行います。
- 説明に同席してサポートする
- 患者さんの表情や反応を観察する
- 緊張して質問できない患者さんに代わってフォローする
- 後でわかりやすく補足説明を行う
- 患者さんの不安に寄り添う
- 「今のお話でご不安な点はありませんか?」と声をかける
- 気持ちが整理できるよう寄り添う
- 理解度を確認し、補足説明
- 説明後は、患者さんの理解度を確認する
- 不明点があれば補足説明を行う
- 必要があれば、医師から補足説明してもらうよう調整する
- 自己決定を支援する
- 患者さんが理解し、自分で治療方針を決められる
患者さんが安心して治療を受けられる、心のケアと情報整理の両面から支えることが看護師の大切な役割です。
同意を得るプロセスと記録の取り方
説明が十分に行われ、患者さんが納得できたら、最終的に同意を得ます。
通常は、説明書や同意書にサインし、記録に残します。これは後々のトラブル防止のためにも必須です。
説明内容や同意の有無も、カルテに記録します。記録には以下の内容を簡潔に残しておくことが大切です。
- 誰が
- いつ
- 何を説明したのか
- 患者さんの理解や同意の様子
臨床実習時は、看護記録を必ずチェックしてからコミュニケーションを図りましょう。


実習で同席するときのポイント


看護実習では、インフォームド・コンセントの場に同席する機会があります。
ここでは、実習生が同席する目的や観察ポイント、注意すべきマナーについて説明します。
看護学生が同席する目的
看護学生が同席する目的は、実際の説明場面を学ぶことです。
医師がどのように説明をおこなっているか、患者さんの反応、看護師のフォロー方法など、教科書では学べない現場の雰囲気を感じられます。
また、患者さんがどのように不安や疑問を抱くのか、説明後の表情や言葉からも多く学べます。
観察ポイント
同席する際は、次のポイントに注目して観察しましょう。
- 医師の説明の仕方
- 専門用語をどのようにわかりやすく言い換えているか
- 説明の順序図・イラストなどの資料活用方法
- 説明中の声のトーン・話す速さ・間の取り方の工夫
- 患者さん・家族の反応
- 表情(安心・戸惑い・不安そう・困惑など)の変化質問ができているかどうか
- 質問の内容・理解度の確認
- どんな点に不安や疑問を感じているか
- 説明後に理解できていなかった部分はどこか
- 看護師のサポートの様子
- 医師の説明にどのように同席・関わっているか
- 患者さんの不安にどんな声かけやフォローをしているか
- 医師の説明をどのように補足して説明しているか
- 理解度確認や自己決定支援をどのように行っているか
- 環境・雰囲気
- 説明を行っている場所の環境(静か・プライバシー配慮)
- 家族や他のスタッフは、どのように関わっているか
- 全体の雰囲気(話しやすさ、落ち着き、患者さんの緊張感)
同席時の注意点
実習生として同席する際には、次のマナーと注意点を守りましょう。
- 事前に許可を得る
- 事前にカルテから情報収集する
- 立ち位置や座る場所に配慮する
- プライバシーを守る
実習は、患者さんの善意による学びの機会です。感謝の気持ちを持ちながら、真剣に学ばせていただきましょう。
国家試験過去問題


過去の出題傾向をもとに、ポイントを整理しておきましょう。
第96回 基本的人権の擁護
患者の自己決定に最も関与するのはどれか。
- 父権主義
- 医師の裁量権
- コンプライアンス
- インフォームド・コンセント
答え
4. インフォームド・コンセント
自己決定は、患者さん自身が治療やケアを選ぶ権利です。
患者さんが分かりやすい内容で、説明を受けたうえで、納得できるインフォームド・コンセントが不可欠です。
第100回 基本的人権の擁護
インフォームド・コンセントの説明で正しいのはどれか。
- 病歴を個室で聴取すること
- 処置の優先順位を判断すること
- 説明をしたうえで同意を得ること
- 障害者と健常者を区別しないこと
答え
3. 説明をしたうえで同意を得ること
医療者が治療内容などをわかりやすく説明し、患者さんが理解・納得するのが大切です。
第103回 看護における倫理
成人へのインフォームド・コンセントで最も適切なのはどれか。
- はじめに家族に説明する。
- 形式的に病状の説明をする。
- 患者が理解したか確認する。
- その場での意思決定を促す。
答え
3. 患者が理解したか確認する。
単に説明するだけでなく、患者さんが十分に理解し納得したうえで、自己決定できるように支援しましょう。
第108回 急性期の看護の基本
Aさん(48歳、男性)は、仕事中に生じた胸部と右肩の違和感を主訴に来院した。バイタルサインは安定しているが、スタンフォード分類B型の急性大動脈解離と診断され、医師から手術を勧められた。
治療の選択で迷っている様子のAさんへの対応で適切なのはどれか。
- 「医師からの治療のリスクや合併症の説明で、不明な点はありますか」
- 「手術を受けるか受けないか、すぐに決めたほうがよいです」
- 「医師の判断に任せるのが一番よいと思います」
- 「緊急度が高いので、話はあとにしましょう」
答え
1. 「医師からの治療のリスクや合併症の説明で、不明な点はありますか」
インフォームド・コンセントでは、患者さんが納得できるよう不明点を確認することが大切です。
スタンフォードB型は時間的猶予があるため、急いで決断を促したり、話をあとにするのは適切でありません。
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実習経験を国家試験に活かす
看護師は、医師から患者さんへの説明に同席し、患者さんをサポートする機会が多いです。
国家試験でもよく出題されるテーマなので、ポイントをしっかり整理しておきましょう。
「説明」と「同意」のこと患者さんの理解度の確認が大切である患者さんが治療内容を理解し納得する
医療者はわかりやすく説明し、患者さんが理解したうえで治療を選べるよう支援します。
知る権利・自己決定権を保障しているヘルシンキ宣言で明記されており、医療法第1条の4第2項に説明努力義務があります。
分かりやすい説明は、患者さんの権利を守るために行われています。
看護師は、患者さんをサポートする必要があります。
- 説明に同席し表情や反応を観察する
- 質問しにくい患者さんに声をかけフォローする
- わかりにくい言葉をわかりやすく補足説明する
- 理解度を再確認し、不明点があれば医師と連携する
- 不安を受け止め、気持ちに寄り添い、自己決定を支援する
看護師は、医師と患者さんをつなぐサポート役として関わります。
国家試験対策には、以下の対策ポイントを実践しましょう。
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患者さんの不安に寄り添える、看護師になりましょうね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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