熱中症の過去問題を解説!直ぐに役立つ★初期対応
こんにちは、母主です!
突然ですが、ここで問題です
あなたが参加しているイベントで、若者が突然倒れ、熱中症の疑いが浮上しました
近くには医療従事者はいません、あなたならどのように対応しますか。
熱中症は病院の外で起きています
熱中症で病院に搬送されるニュースを毎日みます
そして、死亡しているケースもあります
熱中症は重篤な合併症を引き起こす可能性があるので、迅速な初期対応と判断力が必要です
今回は、熱中症に関する過去問題を解説します
熱中症の初期対応や患者さんへの適切な生活指導など、今日から役立つスキルを身につけることができます
では、出題傾向のまとめから紹介します
熱中症の解説は前回記事でも解説しています
高齢者が熱中症になりやすい理由が気になる方はこちらからどうぞ
https://nursekokushi.website/?p=721
熱中症の症状分類と重症度
熱中症の症状と重症度について紹介します
分類 |
症状 |
重症度 |
分類Ⅰ度 | めまい・失神
筋肉痛・筋肉の硬直 大量の発汗 |
現場での応急処置で対応できる |
Ⅱ度 | 頭痛・気分の不快
吐き気・嘔吐 倦怠感・虚脱感 |
病院への搬送を必要とする |
Ⅲ度 | 意識障害・痙攣
手足の運動障害 高体温→体に触れると熱いという感触 従来から「熱射病」や「重度の日射病」 と言われていたものがこれに相当する |
入院して集中治療の必要性のある重症 |
分類Ⅰ度は現場で対応できる軽症で、重症はⅢ度
日射病は直接日光を受けたことで重症Ⅲ度になった状態です
熱射病は日光を受けていないがⅢ度になった状態です
熱中症の応急処置対応
熱中症の場面に出くわした場合は以下の対応が必要です
・涼しい場所へ避難し、服をゆるめる
・腋窩、頸部、鼠径部を冷やす
・水分・スポーツドリンクなどの補給を促す
※注意※
意識がない場合、嘔気がある場合には
誤嚥する可能性があるため、促さない
早く体の体温を下げることが大事
大塚製薬がホームページに熱中症の応急処置を掲載しています
熱中症の救急対応フロー式図が分かりやすいです
気になる方はこちらから、どうぞ
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/heat-disorders/first-aid/
熱中症予防★休憩の目安
休憩は30分毎を推奨しています
塩分・水分(コップ1杯200ml)程度飲む
水分はスポーツ飲料・経口補水液を選択するようにしましょう
詳しい内容は、厚生労働省が仕事中の休憩の目安を
分かりやすく説明しています
こちらからどうぞ
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001098903.pdf
脱水症チェックの方法
病院の外では血液検査は出来ません
状態を直ぐにアセスメントするためにも必要な情報となります
握手→手が冷たければ疑いあり
舌を見る→乾燥していたら疑いあり
皮膚をつまむ→戻るのに3秒以上戻らなかったら疑いあり
爪の先を押す→赤みが戻るのに3秒以上かかれば疑いあり
脇の下を確認→乾燥していたら疑いあり
動画での説明など詳しい詳細を知りたい方は
経口補水液OS-1のホームページに動画が掲載されているので
こちらからどうぞ
https://www.os-1.jp/dehydration_heatstroke/dehydration_heatstroke07/
看護師国家試験過去問題
第96回 熱中症の症状
炎天下で運動していた青年がめまい、頭痛および嘔気を訴えた。
他に出現しやすいのはどれか
1 頻尿
2 浮腫
3 頻脈
4 血圧上昇
解説と答え
【炎天下】と症状から熱中症の分類Ⅱ度の疑いがあります
熱中症になると各臓器に普段より多くの血液を送り出そうとします
心臓に負担がかかるため、その代償として頻脈が出現します
頻脈は1回心拍出量が低下するため血圧が低下します
答え 3
第98回 組み合わせ問題
健康問題と環境要因の組み合わせで正しいのはどれか
1 難聴―130dB以上の音
2 熱中症―低湿度
3 皮膚障害―可視光線
4 シックハウス症候群―ダニ
解説と答え
シックハウス症候群の原因はホルムアルデヒド
壁紙や家具などに含まれる合成樹脂が要因となっています
シックハウス症候群の国試対策が気になる方は、こちらからどうぞ
https://nursekokushi.website/?p=574
熱中症は高湿度、高気温に影響されるので、問題は間違っています
答え 1
第103回追試 組み合わせ問題
健康問題と主な原因となる環境要因の組み合わせで正しいのはどれか
1 熱中症―低湿度
2 水俣病―カドミウム
3 中飛腫―アスベスト
4 白ろう病―騒音
解説と答え
イタイイタイ病は富山県富山市で起こった公害です
この原因が鉱山の排水に含まれるカドミウムでした
水俣病は熊本県水俣市で起こった公害でした
原因は工業廃水からの水銀中毒でした
白ろう病の原因は振動です
チェーンソーなどの機械振動による健康障害です
答え 3
第101回 状況設定問題①初期対応
Aさん(55歳、男性)、会社員。野球が趣味で、野球チームに所属し毎週日曜日に試合や練習を行っている。7月のある日曜日、気温32℃、湿度86%、Aさんは野球の試合で守備についたとき、急激な下肢の痛みが出現し倒れこんだ。その試合を偶然観戦していた看護師がAさんの状態を観察した。ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ‐1、呼吸数30/分,脈拍120/分、整。身体は熱く、多量の発汗がみられた。
この看護師の対応で優先順位が高いのはどれか
1 Aさんに既往歴を訪ねる
2 Aさんの下肢のマッサージを行う
3 Aさんにスポーツドリンクを飲ませる
4 Aさんと同様の症状がある他の選手を把握する
解説と答え
環境、症状から熱中症の疑いがあります
熱中症の対応となると、3番が優先されます
救急車を呼ぶ間は日陰など涼しい場所に移動して、太い血管を冷却する必要があります
答え 3
第101回 状況設定問題②熱中症の説明
入院後2日、Aさんは回復し退院することになった。Aさんは「暑かったから、試合中は水分を摂るようにしていたのに、なぜ、熱中症になったのだろう」と病棟看護師に尋ねた
病棟看護師のAさんへの説明で適切なのはどれか
1 「下肢の痛みが原因です」
2 「湿度の高さも関係します」
3 「糖分の不足も関係します」
4 「野球はやめた方が良いです」
解説と答え
湿度が高いと蒸し暑くなりサウナ状態です
熱がこもりやすく体温が上がりやすい環境になります
答え 2
第107回 状況設定問題 14歳サッカー①初期対応
A君(14歳、男子)は、夏休みのサッカー部の部活動で、朝10時から12時まで屋外で練習した。昼食時におにぎり2個とお茶を500ml摂取し、休憩後の13時から15時まで再び練習した。この日は晴天で、外気温は32℃であった、15分休憩し練習を再開したところ、A君は突然頭痛と悪心とを訴え、グラウンドの隅に座り込んだ。サッカー部担当のB教諭が、A君を日陰で横にして休ませ様子をみていたが、症状が改善せず、顔面蒼白、冷汗が出現した。A君は「気持ち悪い」と言った後に嘔吐した。
B教諭が病院に電話連絡したところ、熱中症の疑いがあるため、A君をタクシーで病院に連れて行くこととなった。このときのA君の意識は清明で、体温は38.7℃であった。
病院到着までに、看護師がB教諭に指示する処置として適切なのはどれか
1 A君の体を冷やす
2 A君に水を飲ませる
3 A君の上体を高くする
4 中枢から末梢に向けてA君の手足をマッサージする
解説と答え
熱中症の初期対応は冷やす+水分を摂る
問題の中でA君は「気持ち悪い」と嘔吐をしています
水分を摂取しても嘔吐する可能性があります
そのため、体を冷やすことが優先的に選択されます
間違えやすいので注意しましょう!
答え 1
第107回 状況設定問題 14歳サッカー②アセスメント
B教諭に付き添われて、A君は病院に到着した。来院時、A君のバイタルサインは、体温38.5℃、呼吸数26/分、脈拍128/分、血圧90/48mmHgであった。口唇粘膜は乾燥し、皮膚をつまむとゆっくり戻る状態であった。血液検査データは、赤血球580万/μL、白血球12500/μL、Hb16.8g/dL、Na152mEq/L、K4.0mEq/L.Cl109mEq/L,クレアチニン0.9mg/dL,であった。尿比重1.035。受診時の身長165㎝、体重57Kg(発症前60㎏)
A君の状態に対するアセスメントとして適切なのはどれか
1 貧血である
2 低カリウム血症である
3 高ナトリウム血症である
4 循環血液量が増加している
5 ツルゴール反応は正常である
解説と答え
男性正常:赤血球410万~550万個/μL、Hb14~18g/dL
→A君は正常範囲内
正常:K3.5~5.0mEq/L
→A君は正常範囲内
正常:Na138~146mEq/L
→A君は152と高ナトリウム血症状態である
水分欠乏による高ナトリウム血症
になっていることがわかる
答え 3
第107回 状況設定問題 14歳サッカー②熱中症予防指導
A君は熱中症と診断された。点滴静脈内注射の後、A君の状態は回復し、家族とともに帰宅することとなった。付き添いのB教諭から、今後の部活動における熱中症予防について看護師に相談があった
熱中症予防のための指導内容で適切なのはどれか
1 袖口の狭い服の着用を促す
2 口渇がなくても水分摂取を促す
3 湿度が高いときに部活動をする
4 休憩は90分に1回を目安にする
解説と答え
口渇を感じた時には遅いため、適時水分摂取をすることが必要である
水分・塩分補給は同時に30分ごとに補給するように厚生労働省は促しています
詳しく知りたい方はこちらからどうぞ
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001098903.pdf
答え 2
まとめ:初期対応は冷やす!飲む!
今回のまとめです
熱中症の過去問題は状況設定問題に出題されやすい傾向があります
対象者の意識があるのか、吐き気があるのか
初期対応は何が適しているのか問われています
内容的には高齢者の場合と類似しているところがあります
夏になると熱中症は病院に毎日搬送されます
日常生活でも比較的立ち会う場面が多くなります
アセスメント力を伸ばし、迅速に対応出来るようになれたら理想です
看護師でなくても予防は知っておくことが大事です
今日も最後まで読んで頂きありがとうございました!
夏の暑さにまけず、水分補給しながら勉強をがんばりましょう
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