看護師国家試験過去問題から実習と受験を対策する☆せん妄の看護実践はこれが大事
第97回 看護師国家試験過去問題・状況設定問題で以下があります。
父が変なことを言ってます。認知症になったのでしょうか。
せん妄と認知症は違います。さっきまで普通だったのにせん妄になると家族も心配です。実習でも戸惑う学生さんもいました。一時的とはいえどういった対応や看護が必要になるのか。現場で実施している看護は実習&国試対策にもすぐ!活用できる内容です。解答・解説を読んだうえで現場での解説を紹介していきますので最後まで読んでもらえると幸いです。
せん妄は数時間から数日で治る!
基本的に「せん妄は短期間で治る」ということを覚えておきましょう。
設定問題にもあるように、せん妄は手術や処置を行った患者さんにみられます。
処置後はベッドでの安静が強いられずっと同じ天上を見て時間間隔を失いがちです。それに、術後であれば痛みもある。そんな状況になるとその現状が怖くもなりますね。
ただ、数週間以上経過しても症状が治らない場合は認知症を疑う必要があるので医師に相談し検査、診断していく必要があります。
せん妄症状①ルートやドレーンなど何でも手繰り寄せる
結論☆環境整備が大事
状況設定問題にあるように術後は体に点滴やドレーン類が繋がっていますが、せん妄患者さんはそれを寝たままクルクル~と手繰り寄せます。そして、最悪の場合には最後にぴっ!と抜くという最悪の結果が待ってます。もう、ショックと絶望しか待っていません。
そんなことが起きないためにも、環境整備は大事!
・ルートは絡んでいないか、他のルートと交差していないか
・ルート類の固定テープはしっかり貼られているか
・手元にはなるべくナースコールやティッシュなどの最小限にする。その他は手元に届かないようにする
など確認しましょう。
そして、ベッドサイドに行く回数を増やします。直接見る。それが一番です。
せん妄症状②幻覚が見える、安静度を守れなくなる
結論☆巡視回数を頻回に!幻覚は否定せず不安要因を取り除く
これは私の義母が実際になりました。ちなみに、今でもその時のことを覚えています。これも、認知症と異なって記憶力が残っているのがせん妄の特徴でもあります。
手術した後だと分かっていたんだけどねぇ、目の前に魚が泳いでいて捕まえたくなったのよぉ。
ちなみに、義母は腰椎固定術をしたので術後の起き上がりは絶対禁止でした。それでも、こうなってしまうから怖いですね。固定が外れて出血や再手術、神経圧迫したら…色々と考えるだけでぞっとしますね。術後は心電図などのモニター監視をしていたので、アラームが作動したことで最悪の事態を防げました。
前項目でも伝えた通り巡視は頻回にします。幻覚や幻視に対しては否定すると不安をあおるので
そうなんですね。
と、伝えます。それ以上、追及すると幻覚が増悪する可能性もあるので現実の確認をします。
ここはどこか覚えていますか。時計は何時になっていますか。
せん妄は手術したことを覚えていることが多いので、今、何のためにここにいるのかをゆっくり思い出させます。痛みが強くなって覚醒している場合もあるので、話を聞いて痛みがあれば痛み止めを使用して休める状況を提供します。
就寝時間でなければ手や背中をさすり、寄り添いながら傾聴し、雑談もします。会話は不安を紛らわせ、看護師と話しをすることで安心することが出来るので雑談も大事な看護です。
せん妄症状③日時が分からなくなる
結論☆時計を常に見せて対応する!
解説には「カーテンを開けて陽の光を浴びる」と書いてありますが、個室と大部屋の窓際ぐらいなら日光は届きますが大部屋の廊下側は正直暗いです。場所は覚えていても時間が分からなくなって不安になることもあります。処置や約束事は時計を見せて対応するようにしています。
今10時ですね。10分後に戻りますが、来ない場合にはナースコールを押してください。
必ず10分後には戻りますが、患者さんも気になって時計を見るしかないですね。これでナースコールが押せない、認識出来ない状態だと分かれば自己抜去、転倒転落のリスクも考えて対策をする必要が出てきますね。テレビも普段見ている番組が始まれば時間間隔も出てくるので脳への刺激になります。
比較的若い患者さんには早めに携帯電話を渡します。電話は出来ないとしてもラインやネットを見ていても時間は表示されるし、外部の情報を得て自然と時間間隔が戻りやすくなります。
せん妄症状④落ち着きが無くなる
結論☆ここぞとばかりに離床を促す!動けば脳も動く!
問題にある落ち着きが無くなって起き上がり動作が頻回になる原因は、基本的に痛みが多い印象です。今回の解答のように、話を傍でしばらく聞くことで落ち着くこともあります。ただ、人によっては話を聞いても落ち着かない場合があります。安静度が解除された状態であれば離床を促します。普通の方は「痛いから動きたくない」となりますが、せん妄に入っている患者さんは
いいから、いいから。俺、もう大丈夫だから帰る。
と言って帰りたがる方がいます。そんな時は、ここぞとばかりに一緒に歩きます。
むしろ、歩いてくれると術後の回復も進むので有難い限りです。
そして、実際に歩いていてこう感じてくるでしょう。
あれ、結構お腹痛いんだけど。もう、いい。ベッドに戻る。
自分の体は自分が一番知ってます。帰宅は無理だと。体を動かしてベッドから離れて廊下に出ると
「ここは病院だったのか。」と正気になったり、他の患者さんにも会ったりして刺激になるので術後の離床機会にはうってつけです。
まとめ
記事にも繰り返し記載してますが、せん妄症状を悪化させる主な原因は痛みや不安だったりします。解説にも記載してある通り、家族と会うことで安心する患者さんもいます。話を聞くだけではなく何を伝えたいのかくみ取る技術は看護師でなくても出来ます。
何に対して不安を抱えているのか、傍に寄り添って観察するのが大事!
日頃から誰かと会話をするうえでも、「この人は何を伝えたいのかな」と考えて聞いてみると相手のことをもっと知れて、自分に対する信頼感も深めることが出来ます。
看護師国家試験まであと少し!これで1つ答えられる問題が増えてもらえたら嬉しい限りです。
看護師実習は大変だけど看護実践を楽しんでもらえるきっかけになると嬉しいです。
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