川崎病に関する看護師国家試験過去問題集の解説と解答法

川崎病 看護

こんにちは、母主(ボシュ)です

 

看護師歴は15年以上、チームリーダーやプリセプター経験も豊富な中堅ナースです

 

今回は、国家試験に向けて勉強している看護学生の皆さんが【川崎病】に関する看護の重要ポイントについて、過去問題を通じて学ぶためのブログ記事を作成しました

 

【 読んで欲しい看護学生さん 】

・川崎病の過去問題をまとめて知りたい

・川崎病の看護ポイントを知りたい

・川崎病の退院指導について知りたい

 

では、結論を先にお伝えします

 

☆川崎病の過去問題から学ぶ看護ポイント☆

・アナフィラキシーショック様症状に注意する

・幼児の点滴管理中のストレスを緩和する

・家族の感情に寄り添い不安点をサポートする

 

要点を分かりやすくまとめているので、読んでみてくださいね

 

 

目次

川崎病の治療と症状

川崎病の基礎知識についておさらいしましょう

  • 発症年齢:4歳以下
  • 原因:不明
  • 流行時期:夏と冬
  • 川崎病の病態:血管の炎症
  • 合併症:冠動脈瘤の形成リスク
  • 症状:6つ

38度以上の高熱は100%出現する

川崎病症状
  • 治療方法:免疫グロブリン製剤の点滴とアスピリンの内服

 

川崎病の退院後の生活

川崎病は再発する可能性がある病気です

 

看護師国家試験の過去問題にも退院指導が出題されています

 

日常生活は通常通りに送ることが出来ますが、退院後は以下の点を指導します

 

☆ 川崎病の退院指導 ☆

・2~3カ月はアスピリン内服を継続する

・小学校入学まで定期的検査をする

・予防接種は退院後6カ月以降に行う

・再発に注意する

・健康的な食生活をする

 

第95回状況設定問題

 

1歳6か月の女児。父親と専業主婦の母親との3人家族である。6日前から発熱と左頸部リンパ節腫脹があり、近医を受診していた。熱が下がらず、体幹に発疹が出現し眼球結膜の充血、いちご舌があり、紹介されて入院した。入院時、体温39.5度、呼吸数32/分、心拍数145/分。川崎病と診断された。

 

泣く幼児の対応

 

入院当日、女児は機嫌が悪く泣いており、母親が帰宅しようとすると、さらに激しく泣き叫んだ。

このときの対応で最も適切なのはどれか。

1 母親に面会を延長してもらう

2 お気に入りの毛布を持ってきてもらう

3 身体を使った遊びや散歩に誘う

4 他児のおもちゃを借りる

 

解説

 

答え 1

 

慣れない環境で母親から離れることは、不安を抱えている可能性があります

 

女児の不安を和らげる必要があります

 

そのためには、母親との面会を延長し安心できる状況を作ることが最優先となります

 

アレルギー反応

 

血液検査の結果、白血球15000/μL、血小板45万/μL、CRP4.8mg/dLであり、γ‐グロブリン製剤の点滴静注内注射が開始された。開始10分後に女児は腹部をかきはじめ、喘鳴と口唇チアノーゼが出現した。

女児に起こっているのはどれか。

1 アレルギー反応

2 けいれん発作

3 心筋梗塞

4 クループ

 

解説

答え 1

 

点滴投与開始から10分で症状が出現している状況です

 

喘鳴と口唇チアノーゼはアレルギー反応が疑われます

 

チアノーゼは酸素不足による循環障害の1つです

 

速やかに対応しアレルギー反応を抑える処置が必要です

 

 

母親への対応

 

病日17日の心エコー検査で軽度の冠状動脈瘤の形成が認められた。主治医からの検査結果の説明後、母親は児の将来を悲観し泣きじゃくっている。

対応で最も優先されるのはどれか。

1 川崎病のパンフレットを渡す

2 父親と連絡をとるように勧める

3 母親からじっくり話を聞く

4 川崎病の親の会を紹介する。

 

解説

答え 3 

母親の感情を受け止め、じっくり話を聞くことが重要です

 

何を心配しているのか、具体的な不安要素や疑問点は何かを理解する必要があります

 

必要な情報やサポートを提供することで、母親の心の支えとなります

 

万が一、この状況を放置する場合は母親との信頼関係が損なわれる可能性があります

 

 

第101回状況設定問題

 

Aちゃん(2歳10か月)は、両親と生後3か月の妹と4人で暮らしている。Aちゃんは、6日前に発熱および不定形の発疹が腹部と背部とに出現した。解熱薬の使用によって、体温は一時的に低下したが、再び上昇したので受診した。受診時、口唇の充血と乾燥とが著明で、眼球結膜の充血と四肢の硬性浮腫とがみられた。受診時の血液検査の結果は、CRP15.7mg/dL、AST〈GOT〉22IU/L、ALT〈GPT〉54IU/Lであった。Aちゃんは川崎病と診断され、入院した。アスピリンの内服とγ‐グロブリンの点滴静脈内注射とが開始された。

 

治療中の看護

 

入院時のAちゃんへの看護で適切なのはどれか

1 歩行を禁止する

2 高エネルギー食とする

3 弾性包帯で下肢を圧迫する

4 アナフィラキシーショック様症状に注意する

 

解説

 

答え 4

 

治療を開始したため、アレルギー反応に注意する必要があります

 

γ‐グロブリン製剤の投与はアナフィラキシーショック様症状が出現することがあります

 

モニタリングし、症状が出現した場合には速やかに対応する必要があります

 

歩行禁止までの安静度制限は不必要ですが、医師指示に沿って対応する必要があります

 

高エネルギー食の治療は必須ではありませんが、栄養バランスの取れた食事を提供することが重要です

 

川崎病の退院指導

 

心エコー検査で冠状動脈瘤が発見されたが、Aちゃんは元気にしており、退院することになった。

Aちゃんの家族への退院指導で適切なのはどれか

1 走らせない

2 塩分摂取を制限する

3 激しく泣かせない

4 予防接種は退院後6カ月以降に行う

 

解説

答え 4

 

γ‐グロブリン製剤は全身の炎症を抑える効果があります

 

ただし、抗体が含まれているため予防接種を実施しても免疫力がつかない可能性があるためです

 

他の退院指導は以下の内容です

 

☆ 川崎病の退院指導 ☆

・2~3カ月はアスピリン内服を継続する

・小学校入学まで定期的検査をする

・予防接種は退院後6カ月以降に行う

・再発に注意する

・健康的な食生活をする

 

 

第103回追試状況設定問題

 

Aちゃん(3歳、男児)は、5日前から発熱し、自宅近くの病院を受診し解熱剤を処方され服用していた。昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂があり入院した。入院時に、体幹の発疹と手足の浮腫が認められ、川崎病と診断された。

 

川崎病の説明

 

母親が「川崎病というのはどういう病気ですか。もう一度教えてください。」と看護師に質問した。

看護師の説明で正しいのはどれか

1 「神経が障害される病気です」

2 「血管に炎症が起きる病気です」

3 「人から人に感染する病気です」

4 「薬の副作用で起こる病気です」

 

解説

答え 2

 

川崎病は原因が不明ですが、血管炎を起こす病気です

 

進行した場合には、合併症に冠状動脈瘤が形成されるリスクがあります

 

 

点滴投与中の看護

 

Aちゃんは左手背に点滴静脈内注射によるγ‐グロブリン製剤の投与が開始された。左手掌から前腕までシーネで固定しているが、Aちゃんは機嫌が悪く両手をバタバタと上限に動かしながら泣いている。

看護師の対応で最も適切なのはどれか

1 点滴ラインを短くする

2 点滴の刺入部を観察する

3 左手首をベッドに固定する

4 体幹を安全ベルトで固定する

 

解説

答え 2

 

既にシーネ固定しているため、刺入部観察をすることで末梢漏れを予防する必要があります

 

小児の末梢挿入は難しく、維持も至難の業です

 

点滴ラインを短くすると、可動域が狭くなるので末梢抜去リスクが高くなります

 

ベッドに固定するのは過剰になるので該当しません

 

症状の説明

 

入院10日、体温36.8℃、眼瞼結膜の充血と口唇の亀裂は軽快した。看護師が訪室すると母親が「指先の皮膚がむけていて気になるようです」と話す。

Aちゃんの状態についての看護師の説明で適切なのはどれか

1「むける範囲が広がってきます」

2「かゆみが出てきます」

3「浸出液が出てきます」

4「痛みが出てきます」

 

解説

答え 1

 

発病10~15日後に皮がむけ始める落屑がみられます。

 

手のひらや足の裏全体が落屑するので、保護や清潔ケアが必要になります

 

 

第108回状況設定問題

 

Aちゃん(1歳6か月、男児)は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病および脱水症と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。

 

点滴投与中の看護

 

Aちゃんに対する看護師の対応で最も適切なのはどれか

1 四肢の抑制を行う

2 気をそらすよう工夫する

3 点滴静脈内注射のラインを短くする

4 点滴静脈内注射の必要性を説明する

 

解説

答え 2

 

点滴に対する不快感やストレスが生じている状態が考えられます

 

そのため、おもちゃ・絵本・歌を歌ったりしてストレスを和らげる必要があります

 

抑制はストレスが増強する可能性があります

 

治療の必要性を説明しても、完全に理解するには難しい年齢です

 

アレルギー反応

 

Aちゃんの血液検査の結果は、白血球15000/μL、血小板45万/μL、CRP4.8mg/dLであり、心臓超音波検査に異常はなかった。γ‐グロブリン製剤の点滴静脈内注射が開始された。10分後にAちゃんは腹部をかきはじめ、全身にかゆみを伴う膨隆疹と喘鳴、口唇のチアノーゼが出現した。

Aちゃんの状態として最も考えられるのはどれか

1 腸閉塞

2 心筋梗塞

3 アレルギー反応

4 クループ症候群

 

解説

答え 3

 

アナフィラキシーショック様症状であるため、速やかに対応・処置する必要があります

 

 

まとめ:アナフィラキシーショック様症状に注意しよう!

 

では、まとめです

 

☆ 川崎病の過去問題から学ぶ看護ポイント ☆

・アナフィラキシーショック様症状に注意する

・幼児の点滴管理中のストレスを緩和する

・家族の感情に寄り添い不安点をサポートする

 

アナフィラキシーショック様症状の観察が必要であることを過去問題を通して分かりました

 

また、4歳以下の幼児は治療に対する不安やストレスを敏感に感じています

 

ストレスや不安は安全に治療を受けることが出来なくなります

 

そのため、看護師は点滴治療が出来るように関わっていく必要があることが分かりました

 

再発リスクがある川崎病なので、家族の不安に寄り添って早期発見に繋げていきましょう

川崎病 看護

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