
マイコプラズマ肺炎とは?大人の治療期間・看護のポイントをわかりやすく解説


マイコプラズマ肺炎って普通の肺炎と何が違うんだろう?



違いが曖昧になりがちですよね…マイコプラズマ肺炎は、一般的な肺炎とは症状に特徴があります。
マイコプラズマ肺炎は、子どもや若者がかかるイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実は大人でもかかる感染症です。
症状の出始めは風邪に似ているため、初期診断で判断が難しく“長く続く咳”が症状の特徴です。
症状が進行すると、呼吸状態が悪化する可能性があります。
この記事では、マイコプラズマ肺炎の基礎知識や看護師としての観察ポイント、国家試験の出題傾向などを、わかりやすく整理しました。
- マイコプラズマ肺炎の基礎知識
- マイコプラズマ肺炎の治療方法と治療期間
- 看護ケアのポイント国家試験での出題例と押えるべきポイント
マイコプラズマ肺炎について理解し、自信をもって実習や、国家試験に臨めるようになりますよ。
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マイコプラズマ肺炎ってどんな病気?


マイコプラズマ肺炎は、集団感染しやすいため、基礎知識をおさえておきましょう。
一般的な細菌性肺炎との違いも解説していきます。
マイコプラズマ肺炎の特徴
マイコプラズマ肺炎は、風邪症状から始まるため、初期では気づきにくいです。
乾いた咳が数週間続き、肺炎へ移行する場合があります。
小児に多いですが、大人でも発症します。



感染力が強く、集団の場で感染が広がりやすい傾向があります。
マイコプラズマ肺炎は白血球やCRPの上昇がなく、聴診所見が乏しい特徴があるため「非定型肺炎」に分類されます。
マイコプラズマやクラミジア、レジオネラなど、通常の細菌とは異なる病原体によって起こる肺炎です。
症状や検査所見が、典型的な細菌性肺炎と異なるため、診断や治療に注意が必要です。
原因菌について
マイコプラズマ肺炎の原因菌は、「マイコプラズマ」という微生物です。
一般的な細菌とは違い、細胞壁をもたない特徴があります。
そのため、ペニシリン系やセフェム系などの抗菌薬は効きにくく、マクロライド系やテトラサイクリン系などの抗菌薬が使用されます。
大きさは、細菌よりも小さく、ウイルスより少し大きい程度です。



グラム染色では染まりにくく、通常の顕微鏡では見えにくいため、診断が難しいです。
マイコプラズマ肺炎と一般的な細菌性肺炎の違い
マイコプラズマ肺炎は、一般的な細菌性肺炎とは、原因菌や症状、治療薬などが異なります。
ポイントを一緒に確認しましょう。
項目 | マイコプラズマ肺炎 | 一般的な細菌性肺炎 |
---|---|---|
原因菌 | 肺炎マイコプラズマ | 肺炎球菌 など |
好発年齢 | 小児や若年成人に多い | 高齢者に多い |
基礎疾患 | なし、または軽微なことが多い | 持病のある人に多い |
咳 | 乾いた咳が数週間続く | 咳の強さは個人差あり |
痰 | なし、または少量 | 膿性痰 |
聴診 | 軽度のラ音、無音なことも | 明らかなラ音などの異常が聴取される |
白血球数 | 10,000/μL以下 | 10,000/μL以上に上昇することが多い |
胸部X線 | スリガラス状陰影・限局性 | 均一な浸潤影・広範囲 |
治療薬 | マクロライド系テトラサイクリン系キノロン系など | ペニシリン系セフェム系 |
日本呼吸器学会の「成人肺炎診療ガイドライン2024」では、成人のマイコプラズマ肺炎を疑う際の判断材料として、以下の6項目を評価することが推奨されています。
細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の鑑別
1) 年齢 60 歳未満
2) 基礎疾患がない、あるいは軽微
3) 頑固な咳嗽がある
4) 胸部聴診上所見が乏しい
5) 迅速診断法で原因菌が証明されない(マイコプラズマ抗原または遺伝子検査陽性を除く)
6) 末梢白血球数が 10,000/μl 未満である
引用出版物:日本呼吸器学会の「成人肺炎診療ガイドライン2024」
6つの鑑別項目のうち5つ以上当てはまると、マイコプラズマ肺炎の可能性が高く、2つ以下は細菌性肺炎の可能性が高いです。
3〜4項目の場合は、鑑別が難しく混合感染の可能性も考慮します。
鑑別の基準を押さえておくと、一般的な細菌性肺炎との違いを意識して観察することができますよ。
主な症状と経過の特徴
マイコプラズマ肺炎の症状は、次のような風邪症状から始まります。
- 発熱
- 咽頭痛
- 鼻水
- 咳
- 頭痛
- 倦怠感
初期症状を経過した後は、乾いた咳が数週間続くのが特徴です。
多くの場合、安静にしていれば自然に回復しますが、肺炎に進行したり、稀に胸膜炎や心筋炎などの合併症を引き起こす場合もあります。
感染経路と潜伏期間
マイコプラズマ肺炎の感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
飛沫感染は、感染者が咳やくしゃみ、会話で生じた飛沫を吸い込むと感染します。
接触感染は、感染者の飛沫がついた物に手で触れたあと、口や鼻をさわることで感染が広がります。
潜伏期間は、2〜3週間とやや長く、学校や職場などの集団生活で気づかないうちに感染が広がるのです。
マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法で「第三種の感染症」に分類されており、集団感染を防ぐため、医師の判断で出席停止になるケースもあります。


マイコプラズマ肺炎の治療方法と治療期間


マイコプラズマ肺炎の診断は、初期で判断するのが難しい疾患です。
主な検査方法と、治療期間や治療方法について解説します。
検査方法
マイコプラズマ肺炎の診断には、さまざまな検査を組み合わせて総合的に判断します。
実習中は、聞き慣れない検査名に戸惑うかもしれませんが、どの検査が何のために行われるのかを理解しておくと、実際の現場でも落ち着いて観察できます。
臨床現場で実施されている検査は、次のとおりです。
- 問診・診察
- 画像検査(胸部レントゲン、CT)
- 血液検査(白血球数、CRP、血清抗体検査)
- 迅速抗原検査
- LAMP法
それぞれ説明していきます。
問診・診察
咳の始まりや持続期間、発熱の経過、全身状態を把握します。
マイコプラズマ肺炎は、乾いた咳が長く続くことが特徴です。基礎疾患の有無も診断の参考になります。
画像検査
胸部X線やCTを用いて、肺の状態を確認します。
初期は所見が乏しいですが、淡いすりガラス様の陰影がみられることがあります。
血液検査
マイコプラズマ肺炎では、白血球数やCRPがあまり上昇しないのが特徴です。血清抗体検査では、IgMやIgG抗体の上昇を調べます。
確定診断に有効ですが、急性期と回復期の両方の血液を比べる必要があり、経過観察に使われることが多いです。
迅速抗原検査
咽頭ぬぐい液からマイコプラズマ抗原を検出する検査で、15分程度で結果がでます。
感度が低いため、陰性でも感染を完全には否定できません。
LAMP法
咽頭ぬぐい液の中から、マイコプラズマの遺伝子を増幅して検出する検査です。
感度が高く確定診断に有用ですが、結果が出るのに3〜6日かかります。
治療方法と治療期間
マイコプラズマ肺炎の治療は、抗菌薬(抗生物質)の投与が基本です。
第一選択薬は、マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシンやアジスロマイシンなど)が用いられます。
マイコプラズマは細胞壁を持たないため、ペニシリンやセフェム系などの細胞壁を標的とする抗菌薬が効かない傾向があります。
2011年以降は、マクロライド耐性菌が増加しています。
マクロライド系抗菌薬で効果が得られない場合は、テトラサイクリン系やキノロン系への変更を検討します。
ただし、キノロン系は胎児や小児の関節・軟骨に影響する可能性があるため、妊婦や小児には禁忌なので注意しましょう。
治療期間はおおよそ1〜2週間が目安ですが、症状の改善は薬の服用開始から2〜3日以内に見られます。


看護師がおさえておきたいこと


マイコプラズマ肺炎は自然治癒する人が多いですが、咳が長引いたり、呼吸状態が悪化するケースがあります。
まれに中耳炎や脳炎、皮疹、溶血性貧血などの合併症を起こすこともあるため、症状の変化には十分な注意が必要です。
看護師として意識したい観察ポイントと、感染対策の基本を整理しておきましょう。
観察ポイントとケアの工夫
マイコプラズマ肺炎の患者では、次の項目を観察します。
- 呼吸状態の確認
- 咳嗽の有無
- バイタルサイン
- 全身症状
呼吸状態の確認
SpO₂(経皮的酸素飽和度)の低下、呼吸回数の増加、陥没呼吸など、呼吸困難の兆候がないか確認します。
呼吸状態の悪化は重症化のサインとなるため、こまめな観察が重要です。
咳嗽の有無
咳の種類や頻度、強さなどを確認します。症状が強く、睡眠に影響がでている場合は、咳を和らげる対応を検討しましょう。
バイタルサイン
感染の進行や合併症の兆候を早期に察知するため、バイタルサインを定期的に測定し、経過観察します。
全身症状
倦怠感や食欲不振、頭痛などを確認します。
症状が強い場合には、無理のないスケジュールで日常生活が送れるようサポートが必要です。
咳によって睡眠が確保できない患者さんには、こまめな水分補給や姿勢の調整も提案し、十分な休息が確保できるよう支援しましょう。
稀にみられる合併症
マイコプラズマ肺炎は軽症で経過することが多い一方、ごく稀に次のような合併症を起こすことがあります。
- 中耳炎
- 脳炎
- 肝炎
- 膵炎
- 皮疹
- 溶血性貧血
- ギラン・バレー症候群
- スティーブンス・ジョンソン症候群 など
これらの症状がみられた場合は、早急に医師への報告が必要です。
「意識がぼんやりする」や「耳の痛みがある」、「皮膚に異変が出ている」など患者さんから訴えがあれば、見逃さないようにしましょう。
感染対策
マイコプラズマ肺炎は、飛沫感染と接触感染の両方によって広がります。
マスクの着用や手指衛生の徹底、環境整備など標準予防策(スタンダードプリコーション)を実践することが重要です。
患者さんにはマスクを着用してもらい、医療者側も適切にマスクを使用することで飛沫感染を防ぎます。
ケアの前後には、必ず手洗いやアルコールによる手指消毒を徹底し、手を介した接触感染のリスクを減らします。
患者さんのベッド周囲や共有部分は、定期的に清掃・消毒を行い、環境からの感染拡大を防ぎましょう。



国試では感染経路別の予防策も問われるため、根拠を理解したうえで対応できるようにしましょう。


マイコプラズマ肺炎に関連した看護師国家試験を解いてみよう


国家試験では、マイコプラズマ肺炎に関連した問題が問われることがあります。
過去問をもとにポイントを整理していきましょう。
第113回 午後35問(感染経路を問う設問)
マイコプラズマ肺炎の感染経路はどれか。
- 空気感染
- 血液感染
- 飛沫感染
- 媒介物感染
答え
3. 飛沫感染
マイコプラズマ肺炎の主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。
咳やくしゃみによる飛沫が、鼻や口から体内に入り感染します。空気感染と区別しましょう。
第98回 午後15問 主要な疾患による健康障害
日和見感染症はどれか。
- 麻 疹
- インフルエンザ
- マイコプラズマ肺炎
- ニューモシスチス肺炎
答え
4. ニューモシスチス肺炎
ニューモシスチス肺炎は、免疫力が低下しているときに発症する日和見感染症です。
ふだんは病気を起こさないような弱い病原体が、体の抵抗力が落ちたときに感染症を引き起こした状態
例えば、がん治療中やステロイド長期使用、HIV感染症など、普段なら問題のない病原体が体内で増殖し、肺炎など重い症状を引き起こすことがあります。
マイコプラズマ肺炎は健康な人でも発症する感染症のため、日和見感染には分類されません。
第96回 午後43問 感染防止対策
スタンダードプリコーションで予防するのはどれか。
- 誤 薬
- 患者誤認
- 院内感染
- 転倒・転落
答え
3. 院内感染
スタンダードプリコーション(標準予防策)は、すべての患者に対して感染の可能性があると仮定し、血液・体液・分泌物などによる感染を防ぐための基本的な対策です。
目的は「院内感染の予防」であり、誤薬や転倒防止とは別のリスク管理です。
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マイコプラズマ肺炎の基本を理解し、実習や国試に備えよう
マイコプラズマ肺炎は、風邪に似た症状から始まり、気づかないうちに肺炎に進行することもある疾患です。
一見軽症に見えても、咳が長引いたり、重症化するケースもあるため、正しい知識が必要です。
特に、細菌性肺炎との違いや治療薬の選び方、感染経路を理解しておくことは、実習や国家試験でも重要なポイントです。
- 風邪のような症状から始まり、乾いた咳が長引く原因菌は細胞壁を持たない
- ペニシリン系は効かず、マクロライド系抗菌薬が第一選択
- 細菌性肺炎に比べて、白血球やCRPが上昇しにくい
- 感染経路は飛沫感染と接触感染
- 治療期間は1~2週間が目安
国家試験でも問われるテーマなので、違いや特徴を正しく理解しておくと安心です。
この記事が、実習中の不安を減らし、「あ、これ知ってる!」と自信を持つきっかけになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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